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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    やるしかない(笑)

    早朝から長女に手伝ってもらって猛然と仕事をしている妻に申し訳ないが、祝日出勤させてもらう。7時40分くらいに家を出て渋谷へ。2月はそもそも短いのに祝日が二日もある。そんなに休んでいる場合ではないのである。

    プロジェクトを俯瞰し、かなり多方面の調整をしていて、それはそれで大変なのだが、一方でものすごく目線の低い仕事が実は結構ある。初めて業務に関わる全国の若い担当者でも戸惑わずに新システムを操作できる「サルでも分かる」マニュアルの整備とか。しかもこれが数種類が必要なのは明らか。

    そういう細々したものまで、全体を統括する私が自分で作らなくてもいいのではないか?という思いもあるのだけど、作れるメンバーがいない。誰かにやらせてみる、という選択肢も無しではないが、たぶん私がやるより数倍時間がかかり、クオリティーは半分以下のものになる。当然、それを私が修正しないとならない。それなら私がやった方が簡単だ。そもそも時間もない。ずっと改善要望し続けているプロジェクトの構造的欠陥なのだけど、この期に及んでそれを言っても仕方ないのだ。やるしかない。最近、日記で自分を鼓舞しすぎている。(笑)

    ただ、この手のビジュアルなパワポ作業マニュアル、作るのに時間と手間がかかる。集中してガッとやらないとできない。普段の平日、調整とか連絡とか、会議とか、承認とか、雑務をこなしながら片手間ではとてもできない。5時間くらい、邪魔されずに集中したい。ということで、出勤した次第。

    さあ、出てきたからにはもうやるしかない。作るぞ、AI作業マニュアル。

    そもそもパワポで資料を作るという仕事は、元の専門ではやらなかった作業で得意とは言い難い。CGとか説明用のグラフやイラスト画像が必要な場合は、発注案を考えてプロに任せるのが我々の仕事のやり方で、自分で手を動かしてチマチマとプレゼン資料やマニュアルを作る文化がないところで仕事をしてきた。しかし、現状そんなことは言ってられないので、今は自分で手を動かすしかない。

    システムの実画面をなるべく多くスクショして貼り付け、工程ごとの注意点をコメントで貼り付けていく地道な作業。だが、実はこの作業の肝は、デモ画面に写すダミーデータにあった。10月に全国でこのシステムを使った際に様々なインシデントや要注意項目の報告、問合せが本部に寄せられた。今回の新マニュアルは、それを反映させるのが大きな命題の一つなのだが、デモ用ダミーデータにそれを全部盛り込んでしまえば、マニュアルのページ数を少なく抑えることができる。作業を始めて1時間くらいして、それに気付いた。

    あ、これは引き返した方が良い。そこまでの作業はいったん白紙に戻して、ダミーデータの作り直しだ。こういう時、割と躊躇なく引き返せるタイプ。一からダミーデータの仕様を練り直す。でもおかげでここからは集中力が高まり、昼食を食べずに14時半まで一気に作業を進められた。

    軽く昼食を食べた後で内容を見直して、細々修正を加えて一応完成。他のメンバーにこの後チェックしてもらって、修正をさらに加えることになるが、ベースとしては上出来。懸案が一つ片付いた。2月11日。大丈夫。ペースは悪くないはず。

    帰ろうと思ったら、業務PCのOSをWindows 10から11にアップロードしろ、というメッセージが出てきた。説明を読むと、アップロード中、PCが40分から1時間くらい使えなくなるらしい。明日出てきてまずそれをやるのも馬鹿らしいので、済ませてしまうことにする。

    PCの画面を眺めていても仕方ないので、またヒヨドリの謎、疑問について考察。実はうちの庭のミカンを食べに来るヒヨドリは、いつも1羽か2羽でやってくる。ところが玄関側のお向かいの家に生えているクロガネモチの赤い実には、ここ数日、20羽くらいが群がって貪り食べている。

    IMG_9865

    このヒヨドリたちの行動の違いはなんだろう?

    両者は明らかに行動が違う。外見は同じヒヨドリでも由来の違う個体群なのだと思う。ヒヨドリという鳥は、東京周辺では一年中見られるのだが、北方のものは南へ渡ると考えられている。本州では10月頃、100羽以上の群れを作って通過していくのを頻繁に見る。こうした群れ、以前は本州を通過して南西諸島などで越冬しているらしい、ということだったのだが、最近、この手の大きな群れが本州にとどまっている気がする。つまり渡りをして群れで行動するタイプと、渡らずに居着いているタイプが同じ地域に混在している?

    ネットで調べると、自分の庭に来るヒヨドリがおとなしい留鳥型と、10羽くらいでやってきて賑やかに餌を食べ散らす渡り型がいる、と観察記録を書いている人もいる。ただ、一年中同じ地域に暮らす「留鳥型」というのも、実は怪しくて話は単純ではない。

    ヒヨドリという鳥、実は昭和30年代頃までは、東京の平地では繁殖しておらず、冬だけ見られる冬鳥とされていた。ところが昭和40年代以降、都心部で急速に分布を広げて、住宅街のちょっとした木で普通に繁殖するようになった。私も小学生の時、当時住んでいた大田区の社宅の向かいの金木犀の茂みで巣を作ったヒヨドリの子育てを観察した記憶がある。その印象があるので、ヒヨドリというのは、すっかり住宅街で繁殖する都市鳥になったものと思い込んでいた。しかし、実は今暮らしている葉山では、4月以降、ほとんど姿を消してしまい、秋までヒヨドリを見ることはない。少なくとも町内の住宅街で繁殖しているような気配は全くない。もしかすると、昔の冬鳥状態に戻ってきているのではないかと、ちょっと疑っている。そうだとすると、ミカンを食べに来る2羽にヒヨドリもどこかから渡ってきている?群れで行動しているグループとは、ふるさとが違う?そもそも20羽で木の実に群がっているヒヨドリが、庭のミカンにはやってこないのも謎だ。食べ物の好みも違うのか?

    あれこれ疑問は尽きない。興味のない人には、本当にどうでもいい話だけど、好きな人間には考えるのが楽しい。

    と考えていたら、Windows のアップデートが無事完了。祝日出勤業務終了でした。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

    ©30YEARS ARCADE