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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    地獄のノック

    ノウゼンカズラのオレンジの花が夏空に映える。三浦半島の海辺には親子連れがたくさん遊びに来ていて楽しそう。楽しそうに子どもの表情を見ながら走るのは気持ちがいい。

    海で遊ぶのも悪くないけど、今日も次男の高校へ練習試合の見物に。来週、再来週は家に帰れない見込みなので、もう次は夏の大会の本番かもしれない。となると、次男の高校で練習試合を見るのは今日が最後の可能性もある。妻も望遠レンズを持って先行。今日の相手は私立だったが、相手が繰り出す投手を打ち込んで、五回コールドで快勝。今日は一試合で終了、ということなので帰ろうと思ったら、そのあと、地獄のノックなるものをするというので、見物することに。

    連続20分の個人ノックらしい。それはキツイな。うまくなるのに有効な練習かどうかは分からないけど、夏大会本番前に気合を入れるみたいなノリか?高校生らしい、と言えば高校生らしい。ノッカーは若い先生二人で、最初に受けるのはショートとセカンドの3年生。セカンドは次男だ。捕球したボールは送球せずに後ろに転がす。背後にはギャラリーの後輩が並び、声出ししながら先輩のノックを見つつ、転がったボールを集めてノッカーに戻す。こういうノックは時々やるが、これまでは最長で10分くらいだったらしい。次男、10分行かないうちに足が止まってきたが、何とかボールを追う。ギリギリのボールに飛び込みまくり全身ドロドロ。足は止まっても、グラブ捌きは上手い。それでも20分は長い。

    小学生の頃から体は大きくないが、器用でバッティングも守備もそつなくこなせた次男。泥臭いプレーとか必死の姿を見せることはほとんどなく、何ならユニフォームが汚れるのが嫌であまりスライディングさえしないタイプだった。その次男が、地獄のノックの一番手として、後輩たちに見守られながら、右に左に飛び込みまくっている姿を見ていて、何だか少し心が熱くなってしまった。なんか成長して頼もしくなった。妻が600ミリレンズで写した写真には、確かに18歳の夏の青春の姿が記録されていると思う。

    私も妻も次男に甘いので、必死の姿を見たら、夕食に美味いものを食べさせてやりたくなってしまった。野菜はたっぷり用意しつつ、うなぎと肉とステーキか?(笑)さすがに腹が減ったようでこれをおかずに一人で米を三合くらい食べていた。頑張れ高校生。

     

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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