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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    色々あった

    清水義範さんの小説?で「国語入試問題必勝法」というのがある。国語の入試問題の馬鹿馬鹿しさを揶揄する風刺短編小説なのかな?パスティーシュ小説とか言われていたが、その言葉の意味はよくわからない。国語が特に苦手な受験生の主人公が特別家庭教師に、国語入試問題の秘伝の必勝法を伝授される話だ。ただの点取りゲームであり、例文なんて読まなくても正解は選べる、とか長短除外の法則、正論除外の法則など、もっともらしくもある必勝法が展開されて、主人公が国語の入試問題攻略の実力を上げていく。国語力が上がるわけではない。(笑)馬鹿馬鹿しさが面白くて高校生の時に読んでとても気に入った。その最後の方のオチで、朝ドラ主人公のような激動の人生を綴った何ページにもわたる例文に対して、問題は「35年の人生を振り返った彼女の気持ちを5文字で答えよ」みたいな難題が出てくる。これに主人公は「色々あった」と回答し、家庭教師に「完璧だ!」と絶賛される。確かに完璧だ。

    今日の私も日記は、色々あった、でおしまいの気分。色々、色々あった。イレギュラー案件も無事片付いた。でもそれとて色々あった中で、さほど大きい話でもない。予想通りのカオスの中で皆が必死に泳いでいる。大丈夫、たぶん溺れている人はいない。たぶん、うまくいっている。対岸まで泳ぎ着こう。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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