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    風早草子

    風早草子
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    双子14歳に そして西田敏行さんの思い出


    12月27日は双子の誕生日。14年前、帝王切開でとっても小さく生まれてきた二人。上の子3人を育ててきた私たち夫婦も戸惑うくらい小さかった。それがこんなに大きくなった。ハッピーバースデー!頑張った妻と私も褒めたい。

    ところで今年、西田敏行さんが亡くなったが、うちの双子は生まれたばかりの頃、彼が局長を務めていたあの番組に出たことがある。

    「探偵ナイトスクープ」は広島では普通に放送していてよく見ていた。視聴者からの依頼、探し物、困り事などを、芸人の探偵が訪ねていって解決する番組だが、依頼が採用されると「探偵手帳」がプレゼントされる。小学1年生だった長女がこれが欲しくて「なんか良い依頼を見つけて送りたい!」と常々言っていた。

    そんな頃に生まれNICUを退院して我が家にやってきた双子。一卵性のためそっくりで全く見分けが付かなかった。病院で付けられた足首のタグを外してしまったら、あっという間にどっちか分からなくなるので、あれをずっと付けていた。この状況で、業界人であるトーさんがつい、娘をそそのかしてしまったわけだ。「今なら絶対に採用される依頼があるよ」と。

    行動力がある娘はすぐさま「生まれたばかりの双子の弟の見分けが付かなくて困っています。探偵さん、良い見分け方法を見つけてください」という依頼ハガキを送付。トーさんの読み通り、すぐに担当者から電話がかかってきて取材を受けることになった。ただロケに来るのは平日の午前中ということで娘は学校だし、私は仕事だし、ほとんど全て妻対応の案件になってしまった。まだ出産1ヶ月くらいしか経っておらず、傷の痛みも残る妻が「なんで私が・・・」とぼやいていた。妻には本当に申し訳ない。私は出勤する時にやってきた取材クルーとすれ違って、石田靖さんを見たくらい。

    放送は面白かった。さすが、という作りで、連れてきた専門家の医師が双子の母斑の違いとか見つけて無事、見分けも付くようになった。西田局長も涙を流して笑っていたと思う。

    あの放送は2011年3月の1週目だった。翌週に東日本大震災が発生し、世間も私の仕事も激動に飲み込まれていくことになった。一週遅れたら、そもそも企画が放送されなかったかもしれない。取材当時、探偵の石田靖さんも驚くくらい小さかった双子だが、あれから14年、無事、震災後の世界を生きて成長してきた。

    そういえば、うちの長男は阪神大震災10年目の1月17日生まれ。今度の誕生日、彼が20歳になるので、震災からは30年ということになる。これは余談かな。

    何はともあれ、娘はあれで無事に念願の探偵手帳をゲットした。今年亡くなった西田敏行さんと我が家の双子にまつわる思い出話でした。

    ちなみに本日は子ども総動員でリビングの床拭き。双子も探偵手帳を持つ女子大生も頑張ってくれてかなりスッキリ。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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