なごり雪?
寒い朝。栃木で大雪が降っているらしいが、葉山は散発的に雨。帰りは止みそうなので、降ってないタイミングに自転車で駅まで急い...
風早草子
カザハヤソウシ
2024年7月14日
中二双子野球部の夏の大会初戦である。
負ければおしまいで3年生は引退。葉山の小さな中学校の弱小野球部とはいえ、3年間頑張ってきたのは同じで、最後の大会で一つも勝てずに終わるのはやっぱりとても悔しい。
だから夏の大会の初戦はいつも独特の緊張感が漂う。
長男が中三の時は、ピッチャーをやっていたこともあり、親までプレッシャーがひどかった。一点差の最終回、一打同点のピンチはもう見ているのがしんどかった。そう、その時は連合チームで、他の中学から一人で参加していた中三の子が直前インフルで初戦出場できず、彼をグランドに立たせるために一回戦絶対に負けられない、というプレッシャーもあった。最後の打者のファールフライをサードが無事捕球した時の気持ちは結構鮮明に覚えている。喜びより、プレッシャーからの解放感が強かった。
そんな夏大会初戦。要は相手がどこであれ、一つ勝つことが何より重要なのだが、今回はちょっと簡単ではない。息子たちの中学はなぜかトーナメントのシード枠を引いてしまい、初戦が2回戦。つまり相手は一回戦を戦い勝った方のチーム。どこと当たっても必ず負けるような弱小チームとの対戦にはならない。
そして対戦することになった横須賀の中学校は初戦をコールドで勝ち上がっている。楽勝はない。
さてどうなるか?とドキドキしながら運動公園に行くと、試合はもう始まっていて打席にはうちの双子1号。だが何やらベンチから笑い声があり、審判に心配されて打席を外している。あとで聞いたら、自打球が股間にあたり、しばらく悶絶していたらしい。周りを和ませるうちのゆるキャラ双子らしいが、大丈夫か?
相手は部員も多くて高校生みたいな体格の選手も3人くらいいて明らかに強そう。
ところが、悶絶からなんとか立ち直った双子1号、見事にライトにヒットを打って出塁すると打線がつながり1回表にいきなり3点先制!そして2回表もまた、双子1号のレフト戦2塁打からさらに3点。
一方こちらは3年生エースが頑張って相手に得点を許さず、6対0と優勢な展開。すごいぞ。
でも相手ベンチは、攻撃力に自信があるのか結構余裕。「大丈夫だ!」「予定通り!」みたいな声が出ている。確かにそんな感じで、ガタイがいい選手に外野の頭を越す当たりを食らってまず2点を返される。
野球というスポーツは、体が大きい子、そして体重が重い子が有利で明らかに飛距離、打球速度が出る。なのでサッカー部やバスケ部にはいないタイプの、どっしりとした子が活躍する。プロ野球で言えば、山川とか村上とかそういうタイプだ。ただなぜかうちの子どものチームにはそういう子がいた試しがなく、いつも対戦相手にいるそういう重量級選手にやられている感じ。
今回もうちのエース君の球に慣れてきた相手重量級が徐々に球を捉えはじめて追い上げられそうな予感。一方向こうはピッチャーをエースナンバーの選手に変え、少しコントロールに苦しんでいたが、ストライクが決まり始めると、球が速くてそう簡単に打てそうにない雰囲気。
そんな中、相手の攻撃。エラーで出してしまったランナーを置いて重量級打者。そしてジャストミートの弾丸ライナーが左中間へ。
野球経験はさほどないが、これまでかなり子どもの試合を見てきたので、それなりに野球のことは分かる。大きい当たりでも、角度がある程度あって、高く上がる打球は、守備位置が良ければ、ある程度、捕球のチャンスもある。だが低弾道の弾丸ライナーは、難しい。よほど守備位置が良くないとダイレクトキャッチのチャンスはないし、少しでもズレれば、外野の間を破られて長打コースだ。また中学野球部のバットはみんな容赦なくビヨンドマックスなので、大きい子が打つ打球は速度がエゲツなく、正面から来ても捕球は簡単ではない。
一言で言えば、打たれた瞬間に皆が「やられた!」と思った打球だった。相手チームからは「よしっ!!」みたいな声が一斉に上がる。
ところが。
この打球を、センターを守る我が家の双子2号君が、素早く反応して斜めに走り、腕を伸ばしてダイレクトキャッチ!そう、奇跡のスーパープレーだ。 長打を確信してスタートを切っていたランナーが大慌てで一塁に戻る。もう少しでダブルプレーというところ。
相手ベンチからため息が漏れ、試合の流れを大きく変えるビッグプレーだった。
双子2号君はこの後も外野で難しい当たりを捕球して相手の反撃の芽を摘み、力投の3年生エースは追加点を許さず。
そして逆に攻撃は相手の速球派エースを攻略して追加点を奪い、6回コールド勝ちとなった。すごいすごい。
我が家は長男、次男は体が大きかったり、センス抜群だったりで、1年生からチームで一人スタメンに抜擢されていたが、それに比べると、双子は体も華奢で、当然一年生の時はベンチ。試合に出るようになっても、速い球にもついて行けず、打順とポジションを埋める要員、みたいな感じだったが、それが今回の大活躍。トーさん目から汗が出そうだ。
素質や体格に恵まれている選手が集まってはいない我が子たちの野球部、中学から野球を始めた子も少なくない。でも、みんなイキイキした表情でプレーしているのが気持ちいい。これは今の顧問の先生二人のおかげだ。長年子どもの野球を見てきたが、未だ前時代的な指導者が少なくなく、試合中に選手を怒鳴る、罵倒するようなシーンを今でも見る。そういうチームの選手は、監督に怒られるのではないか?といつもベンチの顔色を窺ってビクビクしている。でも、今のうちの中学の先生は、部活は何より楽しく、という指導が徹底していて、ミスを罵倒するような声がけは決してしない。なので、子どもたちが自分たちで喜び、悔しがり励まし合いながらプレーしている。 きっとうちの双子が思わぬ力を発揮できたのもそういうところに理由があると思っている。先生たちにも感謝。
次の3回戦からはなんと球場は横須賀スタジアムだそうな。みんな頑張れ!
以上、たまには親バカで長文でした。
神奈川県葉山町/57歳