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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    吊るし切り!


    ついにアンコウをまた買ってしまった。やるしかない、吊るし切り。その記録です。

    いつものランニング中、浄楽寺朝市でアンコウを見つけてしまった。10キロくらいありそうだが、例の如く1匹1000円という格安。夏になっても定置網に入るらしい。

    ここ数ヶ月、どうすれば巨大なアンコウをキッチンのシンクの上に吊るすことができるか?と考え続けてきた。(何に頭を使っているのか?)

    その解が最近ようやく導き出され、2日前にホームセンターで必要な小道具も買っていた。「使うのは来年かな」と思っていたが、目の前にアンコウが。ちとデカすぎる気がするが、今しかない。買った!

    家に帰ってバイクでアンコウを回収に行く。持って行ったバケツにアンコウを入れるが、何というか絵面が強すぎ。ほとんど怪獣だ。

    アンコウを吊るす台として選んだのは、野鳥撮影用の超望遠レンズのために昔買った三脚だ。フィルムカメラの時代に思い切って買った大口径の500ミリレンズ、非常に重いため三脚もしっかりしたものにしないとブレて写真にならない、と言われてこれを買った。三脚も相当重い。

    実際のところ、重いレンズと超重い三脚を担いでフィールドに行くのが自分の野鳥観察スタイルにあまりマッチせず、この三脚のこれまでに稼働実績はかなり低い。が、アンコウ吊り下げツールとして日の目を見る機会が今回巡ってきた。

    アンコウの下顎にかますS字フックは2日前にホームセンターで買った。10キロ以上あるアンコウは、生半可なフックだと伸びてしまうだろうと、吊るし切りを実行するいつかに備えて、ゴツいのを買ったばかり。買って2日で実戦投入だ。

    三脚の足を伸ばしてキッチンにセット。安定感は十分。

    下顎の下に穴を開けてフックをかまして吊り下げる。大成功!

    高さを調整し、あとはYoutubeなどで予習した通りに捌いていくだけだ。さすがに手が離せないので、双子中学生に記録係を頼み写真を撮ってもらう。

    まず皮むき。切れ目を入れてとにかく皮を引っ張りむいていく。かなり力を入れて下に引かないといけないので、吊り下げ台が弱いと困難だろう。重量級三脚は見事期待に応えている。

    皮をむいたら、あとはヒレとか胃袋とか、分解していくだけ。アンコウは全身ブヨブヨでまな板で捌くのはかなり難儀したが、確かに吊るすと切っていくのは簡単。

    腹から出てくるのは、例の巨大な胃袋。重量感たっぷりなので、どんな魚を食っているか?と思ったら、何と60センチくらいあるタチウオが丸ごと入っていた。どう食ってどう飲み込むのか?他にイカ数匹、魚も数匹。未消化な感じでこれも食べられそうだが、さすがに抵抗感があるので捨てる。

    尻尾につながる部分が普通の魚で言うところの身。体の大きさに比べてちょっとしかない。印象としては、アンコウはほとんど頭と胃袋で体の大半を占めている感じ。貪欲な捕食マシン、まさに怪魚という感じ。

    解体は30分くらいで完了。去年まな板で捌いた時は2時間くらい格闘したので、それに比べると格段に楽だし面白かった。

    そして「アンコウを吊るし切りした」という新たな人生の経験値を獲得した。

    アンコウは、身肉以外も、皮とか胃袋とか、その他、あらゆるブヨブヨしたところも食べられる。ただ、全体的に水分量がすごく多い感じで、料理する前に湯通しすると、かなり小さくなってしまう。

    10キロくらいあったと思うが、このくらいなら十分食べきれそうな感じ。

    今回、もう夏だからなのか、肝はあまり大きくなかった。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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