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    もしもし五島列島

    もしもし五島列島
    モシモシゴトウレットウ

    頭燃やして、悩み、選んだご褒美。箸が止まるくらい美味しくなかった唐揚げの悔しさ、忘れるな

     

    何日も前から、店選びの段階から、散々迷って、やっと決めても、メニュー表でもまた同じ熱量で悩んで、頭を燃やしながら選んだ唐揚げ定食。正確にはクリスピーチキンが美味しくなかった。とても。

    店は、どこか優しいオンマが出てきそうな韓国料理屋。外看板の雰囲気はよかったのに、中に入って直感で分かった。あ!外看板だけで決めてはいけないね。

    出てきたのは、出来立て熱々なはずなのに、命が宿っていない、食品サンプルのようなチキン。

    2個食べて箸が止まる。進まない。無理やり無理やり口に入れて、おかずで誤魔化しながら、スープで流し込みながら、食べ進める。

    胃もたれはすぐ襲ってくるし、唐揚げというハローキティのように愛でしかない存在でここまで悲しくなるのかと、絶望でいっぱいだった。まだ、ハンバーグや生姜焼きの方が断然耐えれた。「こういう日もあるよね」って。

    けど、今の私にはこの唐揚げが必要だったんだと思う。

    サービス業でものを作って渡す側になったとき、相手は大切な時間と金を考えた上で、選んで買ってくれる。目の前のお金だけ見るんじゃなくて、その背景を必死に常に認識できるようになっておかないと、雑なものを平気で出す人間になる。今日のこの悔しさを、胃の奥のモヤモヤとこの美味しくない味、そしてこれを食べた悔しい気持ちごと刻んでおかないといけない。

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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