列車の乗り継ぎがひどいとか、道が真っ暗とか、いきなりディスってしまった気がするけど、何というか、山口、思った以上に良い町だった。「西の京」というフレーズも誇張ではないと思う。

令和の大改修が終わったばかりの瑠璃光寺、国宝の五重の塔。完璧な調和って感じの美しさ。

山口は、幕末に藩庁を移した毛利よりも大内氏の影響が強いのかな？あちこちにあった騎馬像も大内だった。室町時代、西の商業地や銀山をおさえて、私貿易もしていた大内氏は、別格の経済的豊かさがあったようで、それが山口を西の京として整えたのだから、まあそうかも。そして、その後、街が経済的、工業的な開発から取り残されたため、古い風情がそのまま残っている感じなのかな。一方で長州の県庁所在地となったため、かつての県庁とか議会の庁舎はなかなか立派。それもそのまま残っている。じっくり歩けば、なかなか味わい深そう。でも、インバウンドの観光客は全く見かけず、静かだった。この前行った福井市もインバウンドの観光客はいなかったな。最近、地方もインバウンド観光客がどこに行っても多い印象だけど、濃淡の差は結構大きいようだ。

まあしかし、隣の広島にいる時から思ってはいたけど、山口県は結構変わった県だ。昨日飲んだ先輩は山口市の人だけど、「県の中心がない」と言っていた。山口市は県庁とかはあるものの内陸の小都市で、人口が多くて大きいのは下関とかだ。日銀の支店も気象台も山口市ではなく下関にある。そもそも平安以前、周防の府は文字通り防府だったろうし、岩国とかになると、むしろ広島圏内だ。夜の街の賑わいならコンビナートがある徳山とかがかつてはすごかったらしい。さらに長門市とか萩市とか日本海の町もあるし。

馴染みのない街に出張すると、毎度のことだけど、まだまだ知らないところがたくさんあるのを実感する。時間があれば、そういうところを巡るだけで、かなり楽しめると思うのだけど、私の人生はまだまだそういうところに到達できそうにないかな。思い出すと、私の父は、私が中学生になった頃、にわかに中型バイクを買って一人でツーリングに行くようになった。現場の記者からデスクになり、比較的、休みが取りやすくなったこともあったのだろうし、子どもも勝手に部活や鳥見に出かけ、手がかからなくなり、休日も好き勝手に過ごせたのだろう。関東周辺の有名な寺社仏閣などは行き尽くしていたし、連休には東北とかにも足を伸ばしていた。トコさんお気に入りのお寺もきっと父は行っていたと思う。私もいつか行ってみたいけど、千葉については、まだ成田山すら行ったことがない。

うーん、いつか好き勝手にさすらえる旅ができる時期が来ることを夢見て。今は出張ランニングが私の貴重な旅だ。

帰りの新幹線でまたせっせと報告書を書いて業務は無事終了。山口のお土産は外郎など。外郎も最近トレンドは「生」らしい。