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    もしもし五島列島

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    夜行バスの平穏を保つために必死で守り抜いた話(チャーハンゴールキーパー)

     

    やっぱり、わたしの人生はまい泉なんだよな。

    ということを、半年に一回しか食べないくせに言ってしまう(デパ地下の閉店間際の割引揚げ物しか買えない)

    けど今回は、この確信した日に、次は必ず店舗の方に行こうと心に決めた。

    惣菜を買うと、買った段階で、ソース選場なきゃいけない難問が降りかかる。辛口、甘口、タルタルの三つから。

    これは普段なら、ひとくち食べて判断したいところ。というか、本音はもう初手で全部かけてほしい。

    そして結局、絶対ソースがいいよねって思っちゃう惣菜に対しても、お得そうなタルタル選んじゃう。

    辛口と甘口の違いは店舗で実験させてもらいたい。

    この世に存在する揚げ物はな〜んでも美味しいと思っていたけど、半額惣菜ばかり買う中で、油が周りに回った臭いものを食べ続けているとそうではないことを学ぶ。揚げたてだとしても、「揚げればなんでも美味しくなるよね」の要員で揚げられているものは本当に悲しい味がする。

    まい泉は、まず、元々の素材が、しょうがないから揚げ物にしちゃおう!なものたちではなく、揚げ物にするのはもったいねえ・・!なものを使っているので、最高に幸せな揚げ物が完成している。いちごでフルーチェ作るみたいな・・?そして、パン粉が違う。揚げ物においては、細めのパン粉の方がたくさんくっついてくれそう!と、信じてた時期もあったけど、やっぱり大きければ大きいほどいい。これが砂鉄のように密集して槍のように鋭く、激しく刺さっている姿の揚げ物が理想である。

    時間が経っても、これほどの大きさを持つパン粉一つ一つが身から離れてないのすごい。そして剥がれ落ちた粒たちを摘んで食べるのもとても美味しい。普段なら捨てて見逃すパン粉が、まい泉だと食後のデザート感覚。

    夜行バスによく乗る。乗る前に食料を買い込むあの遠足前みたいな時間が好きだ。半日足らずの時間なのに1週間バスから出られないの買っていうくらい買い込んでしまう。

    しかも、わたしは食欲の奴隷・配慮欠落人生なので、ついお好み焼きとか、たこ焼きとか、レバニラとか、匂いが暴力すぎるものを買ってしまいがち。でも今回、話したいのは「夜行バスで何を買うかと反省」じゃなくて、「わたしは感謝されるべきだったのでは?」という話。

    バスの予約がギリギリで、最後の1席しか残ってなかった。わたしで満席になった。けど、ここに食いしん坊で食のことしか頭にない私が座ったおかげで配慮色々できてバスの平穏保てたよ⭐︎という終わり。

    というのも、わたしは7-Bに座ったんだけど、6-C(斜め右前)の人がずっと“赤一色系町中華のチャーハン動画”を見ていた。

    めちゃくちゃチャーハン食べたいんだなという空気が全身から出ていた。

    問題は、わたしの隣の7-Aの人。
    その人、大丸のチャーハン弁当を今まさに食べようとしていた。

    私も夜行バス乗る前のデパ地下探訪でこれ狙ってた・・!けど高いから買えなかった豪華中華弁当!コッテリ系じゃない、デパ地下の中華!揚げ物たっぷりチャーハンの罪悪感を誤魔化す上品感!

    そのおばさんも楽しかったのか、

    テーブル下ろす → 蓋開ける → 箸は開けないのにスプーンとお手拭きは開ける (ここで食べる準備終わり!)→だけど、 写真撮る → 誰かに送る(めちゃくちゃゆっくり)
    という手順を踏み、明らかに写真ひとつ送るのに5分はかかっていた。
    おばさん特有のスマホ1本指打法で、ひと文字打つたびに「あいうえお」をタップしていくスタイルで写真を送って、丁寧ないただきますと共に食べ始める。

    わたしは冷や汗が止まらなかった。

    「チャーハン動画ガン見してる6-Cの人、がもし、振り向いてしまったらこの7-Aのチャーハンを奪ってしまうのでは!?」というドキドキでいっぱいだった。せっかく私も、まい泉の惣菜を買って今からイカ天に合わなそうなタルタル(多分イカ天にはソースだよね)をどっさり乗せて食べたいのに、それどころじゃない。

    わたし自身はその日、チャーハンじゃなくてオムライス気分だったから私が奪うという心配はご無用でよかった。

    大丸のたいめいけんのオムライス1500円も買いたかったけど割引ないし、高いし諦めて、雑コンビニのスポンジみたいなオムライスを買った。

    絶対まずいと思いながらも、“表示時間プラス2分”温めればだいたいなんとかなる理論を信じて電子レンジに賭けた。
    結果、やっぱりまずかったけど、熱のおかげで「これはこれでアリ」くらいにはなった。美味しくなさそうなものは温めすぎるくらい温めたらどうにかなるから大丈夫。と、今はあんまりない、コンビニの激安100円テリヤキバーガーを毎日食べてた時に学んだ。ライフハック。

    一方、隣の大丸チャーハン弁当はというと…

    茄子の揚げ浸しが入っている。
    中華風の薄い色のあんかけハンバーグも入っている。
    しかもポテサラは“とろとろポテサラ”タイプで、しっかり量もある。
    チャーハンは卵焼きみたいなのを細かく切って混ぜてあるタイプ。
    “あとから卵を入れる天才チャーハン”だ。

    それはちょっともう見ただけで分かる。
    これは名作弁当!さすがデパ地下!オムライスまるまる全部と、ポテサラティースプーンひとくちを交換して欲しいくらい立派な弁当だった。

    チャーハン動画を見ていた6-Cの人は、多分、匂いを感じたら正気じゃいられなかったと思う。

    デパ地下弁当は上品なので、匂いが強くなく、隣にいても全然気にならないくらいだったから、斜め前にいる人にまで届かないおしとやかさだった。

    だけど、一応、自分がサッカーのゴールキーパーになったつもりで、全力で弁当を見られないように体を広げた。

    わたしがこの最後の席を取って、その配置になってバスの平穏保てて、窃盗も起こらなかったことは褒められてもいいんじゃないかと思った。賞金とか。その賞金で、まい泉の店舗と、大丸炒飯弁当買いたいな。

    以上。
    夜行バスとチャーハンとまい泉はやっぱり美味しいと巨大パン粉がいいよねの話でした。

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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