「厚かましくてごめんね」書店の常連さん
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...

エフェメラ!
エフェメラ!
2026年3月19日
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。
「お酒呑んでるから、これどうぞ」
高円寺・七面鳥のお兄さん


高円寺には好きな飲食店が2つある。ひとつは立ち飲み屋の「きどふじ」で、もうひとつは中華料理店「七面鳥」だ。ヘアカットが11時20分に終わったので、ちょっと小走りで「七面鳥」に向かう。なんとしても口開けのタイミングで入りたい。11時27分くらいにお店に着いたが、そのころにはもう開店を待つ人の列ができていた。前から数えて8組目くらいかな。よしよしこれなら一回転めで入れそうかとホクホクした気持ちで待つ。そして11時半に無事開店。ずらずらとお客様が入っていって、わたしも無事にカウンター席につくことができた。名物の「オムライス」をオーダーしている客たちを横目に、今日のわたしはひと味違うぞと壁のメニューをゆっくりと見る。本当は何を注文しようか迷いに迷っているが、焦ってませんよ~の顔をつくる。もう「オムライス」の段階は脱しているんだよね、とはりぼての落ち着きをみせながら、「酢豚」を注文。オーダーが通ったことを確認して、行く先は瓶ビールがたっぷり冷えた冷蔵ショーケース。ここは、瓶ビールを自分で取りに行くシステム。おじさんたちが流れるようにショーケースから瓶ビールを出して、くいっと瓶のふたをはずしている姿が愛おしい。そうそう、わたしはこういうお店が好きなんだよな、としみじみ思う。わたしが好きなお店のポイントに〈お酒をオーダーすると、自動で小鉢が出てくるお店〉というのがある。このタイプのお店に間違いはないって思ってる。しかも「七面鳥」の場合は小鉢が2品も出てくる。最高すぎて、なにがなんだか。もう頭が下がります…。出てきた酢豚はもちろん最高においしいし、ビールがすすむすすむ。でも中瓶一本でなんとか我慢した。今日のエフェメラは「七面鳥」のお兄さんにステッカーをもらったときのひと言から。お店のひとが作ったのか、常連さんの誰かが作ったのか謎だが、だいぶファンキーなデザイン。思わぬ展開に嬉しさがこみ上げる。帰り道、何かの番組で中華料理店の店主に聞いた「オーダーされたら面倒なメニュー」のなかで、酢豚とオムライスがランキング上位に入っていたな、と思い出してちょっと申し訳ない気持ちになる。

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エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。