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    王様の耳は

    王様の耳は
    オオサマノミミハ

    ミリタリーおじさんの亡霊

    週末の疲れが抜けないまま一日が終わる。これまでなら一晩寝たら回復していたのに。

    更年期に片足を突っ込んでいるため、今後もこういう日がどんどん続いていくのかと思うと不安になる。頬にできた吹き出物も目立たなくなるまで2カ月かかった。回復力の低下を実感する。

    明日も4時起きで狭山。

     

    土曜日の帰りの車内で、だんなさんが

    「最近やっとお客さんから、『こちらのお店は〇〇さん(ミリタリーおじさんがやっていた下北沢の古着屋)ですか?』って聞かれなくなったなー。」

    と嬉しそうにしみじみ話していた。が!

    昨日の日本橋で、着物を着た粋な旦那さんに「亡くなった友達が昔こういう軍物を輸入していたんだ。懐かしいな。」と言われ、聞いてみるとミリタリーおじさんの友達だった。晩年はわが家がおじさんを手伝っていた事をお伝えして、思い出話に花が咲いた。

    怒涛の週末を終え疲れて帰宅、やっと寝られると布団に入ったら、だんなさんの携帯に着信。ミリタリーおじさんの番頭的立場だったスタッフの女性から、何年ぶりかの電話だった。

    昔は酔っ払うとしょっちゅう電話をかけて来て愚痴っていたけど、ここ数年は音信不通でわが家でも心配していた。現在は病気をしていて、静岡の実家と通院のためパートナーのいる東京の家を行き来しているとのこと。相変わらず酔ってはいたけど、声は元気そうだった。

    電話を切った後で

    「お客さんに〇〇の店名を言われなくなったなーなんて調子の良いこと言ったせいで、おじさんの怒りを買ったかもしれない。舐めたこと言ってるんじゃないぞと、いろんな人を僕に仕向けてきたんじゃないかと思う。」

    と苦笑いで語っていた。お化けとか占いとかは信用しない人なのに、さすがにちょっとビビっていた。

    8年前の3月17日、おじさんに電話で売上報告をしたらすごく褒められた。なんか変だなと思うくらいの褒め方で妙だった。その翌日に脳卒中で倒れ、あれはきっと虫の知らせだったんだなと死を覚悟した。そしたら2週間ほど生死の境を彷徨った後で蘇ったおじさん。憎まれっ子なんとやらだなと仕事仲間と笑った思い出。

    わが家はおじさんの亡霊に見張られているようなので、明日も怒らせないようにがんばりたい。

    書き手

    ふかやまゆみこ

    ふかやまゆみこ

    東京都町田市/46歳

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