「イノシシだけかわいない」ほしばあさみ
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...

エフェメラ!
エフェメラ!
2026年4月2日
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。
「・・・」
ほしばあさみ
朝早くからやらないといけない仕事があったので、めずらしく6時台の電車で会社に向かった。このくらいの時間でも中央線はすでにまあまあの乗車率。座れる席はもうない。そんなに荷物も多くなかったんだけど、いつものように網棚に鞄をおいてしばらく立っていると、わたしが鞄を置いている所らへんからなんかの液体(水っぽい)がポターっと落ちてきて、座席に座っているおじさんの肩にかかっているではないか。おじさんはハンカチを出し、無表情で濡れてしまったスーツを拭いていた。わたしはといえば、あわてて鞄を網棚からおろし、中をチェック。何回も確認したが、わたしの鞄には液体は入っておらず、どう考えてもわたしの鞄からこぼれたわけではない。となると、網棚に何かの液体がたまっているのだろうが、あいにくわたしは背が低いので確認できない。あーでもこれ絶対このおじさんわたしの鞄から何か漏れてるって思ってるよなーと思いつつ、ここで「すみません、でもわたしじゃないんです!」っていうのもなんか変だし、ただシンプルに「すみません」ってだけいうのは非を認めたみたいでなんかちょっと納得いかないし、かといって「大丈夫ですか?」って声かけるのも、いや、お前のせいだろって思われそうだしーーーーってなって、結局何も言えなかった。こういうとき、なんて言えばよかったんだろう。というか、網棚にはいったい何があったんだろう。雨に濡れた傘をおいた不届き者がいたのかもな。
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ゆみこさんの今日のコーディネート、めちゃ好み。
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エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。