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    島縞

    島縞
    シマシマ

    先で待ってくれる道をゆく、もうなのかまだなのか分からない時の長さ

    人の頭の中を覗いてみたいと思うことがある。私の頭の中は騒がしくて、いつも私と誰かが会話しているのだが、みんなの頭の中もそうなんだろうか。

    朝から澄みわたった空と山が、起きたばかりの頭にうつしだされて、すぐに会話が始まる。止まらなくて仕方ないから、書く。
    それでも止まらないから、ずっと伝えたかった思いを言葉にしてDMも書く。ひたすら書く。
    湧き上がる言葉をひとつひとつ吟味して、ピンセットでそっとはがすように。残らず全て取り出した。

    毎日そうであってもたまらないけれど、一切湧き上がることのない日もたまらない。いい塩梅で出てきたらよいと思うけれど、そんなムラが自然でいいのかもしれない。

    外出2時間前。
    娘が目尻を垂らしてもの言いたげに、でもなかなか開かぬ口で近づいてきた。あ、これはいかんやつだ。行かんっていうやつだ。仕方がない。
    怖さをこらえて、自分が壊れそうになるまで耐えられるより、素直に怖いと、行きたくないと、伝えられるようになったことの方が尊い。
    そう思うと同時に、どうしたらうまく収まるか頭フル回転で考える。本当、忙しい頭。
    しばし慌てるが、落ち着いてくるとしっかり道筋が見えてくる。どんな時でもなるようになるもんだ。

    浄土真宗の法事は、先に逝った人ではなく遺された人のためのものだという。
    南無阿弥陀仏と唱える度、私たちの体に入ってくる。
    唱えた途端、口にできる物質は空気だけ、とおっしゃられる言葉にそうかと思う。
    それが「空」であることにも思考が巡る。私の忙しい頭で聞いたお話なので、色々勘違いもあるかもしれない。

    病気は、突然であることもあるが、じわじわとその命の残りがわかるから、心の準備はしやすいのかもしれない。心の準備ができたとて、だけれども。
    過ぎた時は、長くもあるようで短くもある。その時で異なる。ただ、こんなにもそばにいない時が過ぎたのか、とこんな節目の日には思わずにはいられない。
    いつかはおとづれるのだけれど、一緒にいた年月よりいない年月が長くなっていくのはやっぱりやるせないよな。その差はマイナスにならず、できるだけ短いほうが、きっといい。

    長いような短いような1日ももうすぐ終わる。

    ところで借りていた、すぐに読むべき本たちはもういない。
    読んだら手放す予定の4冊に、やっと浸れる時が来たのだ。

    この4冊を無事に手放せたら、次に手に入れたい本は決まっている。
    さきさんの一昨日の一冊。あぁ、私も東京に瞬間移動できたなら。
    更に、その前の2回にわたり、私の名前を出してくれていることにようやっと喜びを噛み締めきった。私の心の底からの反応は、数テンポ遅れてやってくる。
    ライスペーパーの揚げ焼き、加減によっては歯にくっつきます。ご注意を!

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/43歳

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