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    かきぬまめがね@東京

    かきぬまめがね@東京
    カキヌマメガネアットトーキョー

    あの冬の、新潟の私へ

    サイコさんちの日めくりカレンダーかわいいなー絶対来年真似っこしよー

    田畠さんが載せていた三条市の冬景色。まさにあのモノトーンの世界こそ私が育った冬そのもの。新潟の冬は暗く重たい。もうすぐ長男の誕生日だが、こんな時期の新潟(里帰り先)で彼は産まれたのだった。そりゃ母(わたしです)の産後メンタルもおかしくなるだろうよ!と今なら笑い話みたいに書けるんだけど。写真は産まれる数週間前の実家の庭。

    赤ちゃんは可愛く、実家の母も祖母も手伝ってくれた筈なのに、あの時期の思い出は辛さが色濃い。とにかく毎日死にそうに眠くて、泣き声が怖くて、常にべっとりとした不安が張り付いていた。昨日まで母親じゃなかった人間が今日から突然母親になるという感覚で、正直言って暗澹とした数ヶ月の思い出。

    先日仕事関係で発達心理学の大学教授の方にお話を伺うことがあった。現代は様々な理由を背景に、自分の子どもを持つことがはじめて小さな子どもと触れ合う経験になる人が多いのだと聞いた。本来親になる前に小さな子どもと触れ合うことで育まれる「親性準備性」という資質が得られぬまま親になってしまうそうだ。「親性準備性」とは文字の通り親になるための知識、関心、心構えや態度などのことを言う。話を聞きながら、まさに私はそのパターンだったなと思い返していた。

    やがて新潟にも春が来て、それと同時に息子はじめての予防接種のタイミングがやってきて、私は里帰り先の新潟を後にする。それはつまり今日にまでつながる東京での子育ての開始を意味する。それはそれで色々あるけれど、なんとかまあここまでやってこれてる事に拍手しよう。2月のはじめに長男は8歳になり、一丁前にプレゼントの内容で悩んだりしている。ケーキはチョコケーキがいいけれど、お店はパパとママが好きなところのやつで良いって言っている。今私が日記を書いている間に弟を連れてお風呂に入っている。

    あの苦しい新潟の冬がなければこんなに成長した彼には出会えなかった。頑張れ、未来はあるって。あの冬の新潟の私に、心の中で声を届けてる。

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    書き手

    かきぬまあやの

    かきぬまあやの

    東京都目黒区/37歳

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