電動歯ブラシ
使っているオムロンの電動歯ブラシが最近調子が悪くて、電源が入りにくい上に動き出しても途中で止まってしまう。単に接触が悪く...
風早草子
カザハヤソウシ
2025年6月17日
悲しい日というわけではないが、めでたい日でももちろんない。一つの区切りだ。ついにやって来たXデー。母を認知症のグループホームに入所させる日だ。もちろん母は理解も納得もしていない。しかし、兄夫婦と我々、かかりつけ医、ケアマネ、訪看さんなど、母に関わる関係者の間で意見の相違は一切ない。
今回は兄夫婦が執行役を務めてくれる。私は仕事の傍らその経過報告をLINEで見る。
2年ほど前に大学病院のメモリー外来に同行した時に医師はすでに「アルツハイマー」という言葉を使っていた。それでも日常の食事や洗濯は概ね自分でできていたため、訪看さんやヘルパーさん、夕食の配達サービスなどを受けて一人暮らしをしていた。元々料理が得意で好きな人だったが、去年3月頃から自信がない、と言うようになり、レンジで温めて食べられる冷凍弁当を我々が買って冷凍庫にストックするようにしていた。ただ合わせて身体機能の低下も出てきて、一年前には転倒して顔を打ち、メガネを壊した。この時、母を眼鏡屋に連れて行って新しいメガネを作るのも一苦労だった。それでもまだ一人暮らしをしていたが、最近、冷蔵庫の食べ物がダメになる傾向が見られて、転倒も先月2回した。うちの長男が訪ねた際は電気ケトルをコンロに乗せて沸かそうとしたと聞いている。IHなので火災の心配はしていなかったが、まあ総合的に限界なのだ。
元々心配性で細かいことばかり気にするタイプではあったが、記憶力の低下でますます不安症は増すものみたいで、最近は家にいる時も出先でも常に何かを探している。カサカサ、ゴソゴソやり続けて、「あるはずなのに見つからない」、「何で無いんだろう?」と一緒に家にいると問われ続ける。そしてそれはだいたい、今必要なものではない。「必要ないなら、いま探さなくてもいいんじゃない?」と言っても、「無いのはおかしい。どこにあるんだろう」と探すのをやめない。私でも2時間くらい一緒に家にいると、キツくなってきていた。
今日は兄夫婦が毎月行くかかりつけ医の診察に付き添い、体が傾いて転倒も増えてきたので、しっかりリハビリをした方が良い、と医師にも言ってもらい、そのまま母をグループホームに連れて行き、入所させる。すでに契約は済んでおり、必要な荷物も兄たちが調達して運び込んである。病院の後に昼食を食べている兄から、母が不安を言いまくっていて、メンタルがキツイ、というLINEが来る。申し訳ないが、頑張ってもらうしかない。
午後、全国の実務担当者向けの新システムのオンライン講習会があり、2時間ほど、熱弁を振るって実演をしている間に、兄の方はかたがついていた。仕事の切れ目に電話をして兄に礼を言い、労う。兄から多くきていたLINEに一回、姥捨山、というワードが使ってあった。そういう気持ちを抱く役割を担ってもらって申し訳ない。
まあしかし、これは数年前から予測されていた必然的な展開だ。悲しむことでもないし、めでたいことでもない。粛々と受け止めるしかない。帰り道の渋谷の街は今日も脳天気な賑わい。そして、仕事は今日も忙しく色々なことが次々あり、私は判断を下し続けている。
神奈川県葉山町/57歳