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    エフェメラ!

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    エフェメラ!

    「この度シネマカリテは、2026年1月12日(月)をもちまして閉館することとなりました。」「シネマカリテ閉館のお知らせ」

    アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。

     

     


     

    「この度シネマカリテは、2026年1月12日(月)をもちまして閉館することとなりました。」
    「シネマカリテ閉館のお知らせ」

     


     

     

    ツイッターを眺めていたら、東京・新宿にあるミニシアター『シネマカリテ』閉館の報が目に入った。『シネマカリテ』にはひとつ思い出がある。

    ちょうど10年前、僕は大学生で、映画にハマり始めた時期だった(きっかけは、その前年に公開されたクリストファー・ノーラン『インターステラー』を紹介する町山智浩の語り口にあった)。カルチャーとしての映画に憧れがあったので、取っ掛かりを見つけたことをいいことに、それから半年も経たないうちにとある映画関係のインターンを始めた。同期の3人は当然僕より年季の入った映画好きで、いろんなことを教えてくれた。本当に楽しかった。

    その同期3人とはよく一緒に映画を観に行った。なかでも印象深いのは『シネマカリテ』で観たフランソワ・オゾン監督作『彼は秘密の女ともだち』だ。上映が終わると3人が顔を見合わせて、とても幸せそうな表情をしていたことをよく覚えている。僕はピンと来ていなかったから余計に。『カリテ』を出て、感想を言い合う3人の後ろで、どんな話をしているのかと耳を澄ませた。もっとも、新宿駅前の雑踏でなにも聞こえなかったけれど。

    ともかく、映画好きな彼らを興奮させる上映をしているという意味で『カリテ』はある種の憧れの場所だった。(009)

     

     

    エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。

    書き手

    迎亮太

    迎亮太

    東京都国立市/32歳

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