「この度シネマカリテは、2026年1月12日(月)をもちまして閉館することとなりました。」「シネマカリテ閉館のお知らせ」
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...
エフェメラ!
エフェメラ!
2025年9月5日
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。
「ハード・トゥ・ラヴ」
タレク・ラクリッシ
今日は有楽町店で動物の陶器作家のフェア設営。銀座に行くときに立ち寄る場所のひとつに「銀座メゾンエルメス ル・フォーラム」がある。8階に位置するル・フォーラムは、ガラスブロックに囲まれた、気持ちの良い吹き抜けの空間で、国内外のアーティストによる現代アートの展覧会を定期的に開催している。しかも無料で。これがとても良いのだ。エルメスとアートとの自然体な関わりを感じることができる場所になっている。
いまやっているのは、“社会的身体”をテーマにしたグループ展「体を成す からだをなす」。さまざまな社会環境の中で身体の役割や存在について意識を向ける、世界各地のアーティストの表現を伝えている。
今日のエフェメラはそのなかのタレク・ラクリッシの作品タイトルから。タレクは詩人であり、パフォーマーでもある。
〈ハード・トゥ・ラヴ〉はビデオ作品だ。テーブルの上にあるグラスを手に取って、また置いてをくり返しながら、「私は〜を習わなかった」(この〜に入る言葉が色々変わっていく)という詩を英語でよみあげている。
作品解説によると、「フランス人アーティストであるラクリッシは、母語を失い、支配的な言語の中で自分自身を認識できなくなったもどかしさを、英語で表現している。作品内の言いよどむ声はある種の障がいを示唆しており、ラクリッシにとってそれは、統合が原則の社会において「異物」として存在することである。《ハード・トウ・ラヴ》は、誰かを愛すること、愛されること、そして自分自身を愛することの難しさを探究している。」のだそうだ。解説を読んでまた作品に向き合うと、最初とはまた違ってみえてくる。
わたしがこの「ル・フォーラム」に通う理由はまだあって、それが展示のオリジナル図録だ。会期中に制作されるので、会期が終わって次の展示がはじまったころにはだいたいギャラリーに置いてある(気がする)。今日もまた前回の展示「スペクトラム スペクトラム」の図録を無事に手に入れた!見て見て!笑
(035)
エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...
その辺に転がっていてなんぼのエフェメラだけど、忘れがたきものも混じっているもので。その本分をわきまえつつ、このひと月を振...