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    エフェメラ!

    エフェメラ!
    エフェメラ!

    「立川・国立班の班会は国立駅南口近くの白十字という洋菓子屋兼喫茶店で月に一回行われていました。(中略)コーヒーと美味しい苺のショートケーキを頂きながら、班長が読み上げる報告を聞き、近況を伝えあう、という風でした。(中略)月に一度の午前中、そんな、のんびりとしたお茶の時間を三〇分ほど過ごしていたものでした」五本木広子「あの頃に出会った古本屋 銀杏書房と西書店」『多摩のあゆみ』第一九九号

    アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。

     

     


     

    「立川・国立班の班会は国立駅南口近くの白十字という洋菓子屋兼喫茶店で月に一回行われていました。(中略)コーヒーと美味しい苺のショートケーキを頂きながら、班長が読み上げる報告を聞き、近況を伝えあう、という風でした。(中略)月に一度の午前中、そんな、のんびりとしたお茶の時間を三〇分ほど過ごしていたものでした」
    五本木広子「あの頃に出会った古本屋 銀杏書房と西書店」『多摩のあゆみ』第一九九号

     


     

     

    家の掃除を済ませて、近所の珈琲館に入り、原稿を書く土曜日。一本終えてひと息つこうと帰宅し、だらだらして、再び家を出、ひと駅隣の立川へ。ここのベローチェは22時までやっているからもう一本の原稿を終わらせられるだろう、という算段で。

    国立駅で電車を待っているときに、なんとなくでツイッターをひらくと「おっ」と思うツイートが流れてくる。多摩エリアのローカル銀行・たましんの地域文化財団が制作している冊子『多摩のあゆみ』の最新号が「多摩の古本屋」特集だ。立川駅のルミネに入っている支店は18時まで、つまりこの時点であと10分営業しているから寄って行こう。

    無事、冊子を手に入れてベローチェへ。さっそく目次を確認すると、特集の記事が5本あり、かなり充実している(八王子に行けば必ず覗く『佐藤書房』のオーナーの顔を初めて確認できた)。

    国立の話もよく出てきて、なかでも「あの頃に出会った古本屋 銀杏書房と西書店」からは、かつての(ここでの「あの頃」は1998年ごろ)町の様子が浮かび上がってくる。特に『白十字』の在りし日の姿が。この『白十字』は今もあるのだけど、建て替わっていて、かつてはピアノが置いてあったほど広々した喫茶スペースがあった。アルバイト先の書店の面接をしたのも当時の『白十字』だった。(044)

     

     

    エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。

    書き手

    迎亮太

    迎亮太

    東京都国立市/32歳

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