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    エフェメラ!

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    「厚かましくてごめんね」書店の常連さん

    アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。

     

     


     

    「厚かましくてごめんね」
    書店の常連さん

     


     

     

    アルバイト先の書店に出勤するたびに、セルフで日誌を書いている。月に一度とか、ワンシーズンに一度とか、適当なタイミングで小冊子にまとめて本屋に置こうかな、というくらいの気持ちで。特に新人にとっては「こんな感じで働いてるんだ」と参考に(反面教師にも)なるんじゃないかと。5月半ばからはじめて、それなりに続いている。「それなり」というのは、たまに書きそびれることがあるからで、微妙な記憶を頼りに書いてはみるものの、ディテールに欠くことも少ない。

     

     

    そこで最近、ここ3回くらいは、勤務中にメモをとることにしている。写真は昨日、9月17日(水)のメモ。3回くらいやるとなかなか機能的になってきて、時間は四角で囲ってみたり、右サイドにはレジで思いついた今日やっておきたいことを書き付けておいたり。もう日誌はこれでいい気がする。

    この日誌に収めがたいお客さんとのやりとりが今日のエフェメラ。水曜日の夜に決まってやってくるそのお客さんは、やはり決まって『週刊文春』と『週刊新潮』をセットで買って行く。「角が折れてない、きれいなのをちょうだい」と、これもお決まりのフレーズ。そして「厚かましくてごめんね」までがセット。

    このこだわりはわからなくないけれど、とにかく不思議なのは、どうして水曜日の夜に? ということだ。なんせ文春と新潮の発売日はどちらも毎週木曜日。もちろんそのことをお客さんは知っていて、その上で、最新号発売直前の水曜日の夜に買って行く。謎だ。さらに輪をかけて謎だったのは、「厚かましくてごめんね」を連呼した後に、値上がりしている『文藝春秋』は「厚かましい」と言ったこと。モノが「厚かましい」と言えるのか、はたまた『文藝春秋』はヒトなのだろうか。(048)

     

     

    エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。

    書き手

    迎亮太

    迎亮太

    東京都国立市/32歳

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