「がんばれば普通になれるかな?」奥田亜紀子/シューリンガンの息子 作中セリフより
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶと...

エフェメラ!
エフェメラ!
2025年12月16日
アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。
「一番きれいな時間ですよ。西陽が差し込んで。(しゃがみながら)こうやって下から撮るのがおすすめです。」
世田谷美術館のスタッフさん

ちょっと前の土曜日、「ミナ ペルホネン」の展覧会「つぐ minä perhonen」に行ってきた。展示ゾーンにはいってすぐのスペースでは、ずらりと並ぶたくさんのテキスタイルが出迎えてくれる。ちょうど夕方の時間だったのもあって、窓から差し込む西陽がきれい。スタッフのひとに「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねるとかえってきたことばが今日のエフェメラ。そのあとの展示で書かれたどんなキャプションのことばよりも、なんだか記憶に残ってる。誰かが発したやさしさのかたまりのようなひと言が心にポーンって入ってくることってあるよね。迎え入れる側の人間として、こういうことばを渡せるひとでありたいな。

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エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。