楽しみにされていた夏だった
新潟で長男と迎える朝。 朝から家庭菜園の茄子を収穫し、少しだけ一緒に家の周りを散歩した。 青い空に広がる緑の稲、夏の新潟...
かきぬまめがね@東京
カキヌマメガネアットトーキョー
2025年6月26日
雨のち晴れに出てきた「捨てられる木材」を見て、思い出したエピソードを今日は書く。
(先日もたまたま書いたけれど)私が前職で勤めていた会社は内装デザインの会社であった。ただ内装デザインにとどまらず、ボスの趣味満載のDIYグッズの小売店も営んでいた。1ロール数万円というくっそ高い輸入壁紙と、一体どこからやってきた?というような数百円のクセ強雑貨たちが同じ土俵で並ぶスーパー不思議空間で、私はそこで店長のようなことをやっていた時期がある笑
所属していた会社は、工務店ではなかったものの、施工資材の調達なんかも業務として発生することがあった。なので現場で出たいわゆる「端材」たち(多分「捨てられる木材」もそのようなお仲間かと)が大量にお店にやってくることがあった。
それまで広告系の会社で働いていた私にとって、建築現場というところであんなにもたくさんの端材が出て、それらが捨てられていくということは驚きであった。壁紙もタイルも床材も、基本的には規格サイズがある。壁紙だったら壁のサイズから溢れたところはカットされるし、タイルというのは小さな1ピースずつ貼るものではなく、シートになっているものをぺたりと貼り付けて余剰部分はカットされることも知った。少し考えれば分かることなのかもしれないけれど、なかなか想像が及ぶ部分ではなかった。
お店に大量にやってきた「端材」たちは「お店で売ってもいいし、ご自由にどうぞとかにしてもいいよ」と上司から言われていた。言い方は悪いが本来ゴミとして戻ってきた端材たち。でも綺麗な柄の壁紙や、キャンディーみたいなタイルたちはそれまで建築資材に馴染みがなかった私にとって決して捨てられるものとは思えず、ものすごい破格で販売したりしてみていた。すると、お客さんたちは何に使うのかわからないながら結構面白がって雑貨感覚で買っていってくれたのだ。「今日は端材の壁紙はないの?」などとリピートして買いに来る方も出てきたり。
そしてあるとき一人のスタッフが「タイル、こんなにたくさんあるなら、シート売りだけじゃなくて、バラして『つかみどり』とかにしたら面白いと思う!やろうよやろうよ!」と、すごい推進力で進めてくれ、店頭で「タイルつかみ取り」という新しいコンテンツ(笑)が誕生した。この「タイルつかみ取り」は、このあと店が閉店となる時までずっと店頭の看板商品として、いつも店の入口でお客さんたちを楽しませていた。
・・・さて、気になるこのスタッフが誰かって?
この「タイルつかみ取り、やろうよやろうよ!」と、面白いことへの真っ直ぐな思いで進めてくれたのが、そのときお店を手伝ってくれていた…ほかでもない三十年商店店主のおひとりサイコさんです!!多分ご本人覚えていないんじゃないかな?と思うけれど笑 私にとってはとても印象的な出来事であった。今またこうやって肩を並べて別の形で商店を営んでいることがなんだか不思議だし、とても嬉しい。
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