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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    高校野球秋大会地区ブロック予選


    野球のことばかり書いている気がするが、高校生と中学生が3人野球部で、我が家のイベントに占める率が高いので仕方ない。

    甲子園では夏の大会が続いているが、こちらでは最終的に春のセンバツにつながる秋大会の予選が始まり、次男の高校の試合の見物へ。

    会場は小田原の高校のグランド。普段あまり乗らない東海道線で西へ。車内から見える水平線が新鮮。

    いつも葉山から見ているのも同じ相模湾なのだが、三浦半島の西側からは、相模湾越しに横たわる伊豆半島が正面に見えるため、太平洋という感じはしない。海の表情は見る場所によって様々で面白い。

    会場の高校のグランドは、内野は黒土だが、外野の土は真っ白。台風一過の日差しの照り返しがまぶしい。

    秋大会の地区予選は抽選で割り当てられたブロック4校の総当たりで、上位2校が県大会に進める。激戦区神奈川は野球に力を入れている私学も多く、公立高校の多くはこのブロック予選で私学の壁に跳ね返される。

    長男が高一の時は、初戦で日大藤沢と対戦し、0対34という記録的な敗戦を喫していた。エースが怪我をしていたのもあったのだが、スタメンキャッチャーだった長男は、相手の攻撃34点の間、猛暑の中でマスクをかぶって座りっぱなしで、さすがにうんざりして帰ってきていた。

    そんなブロック予選だが、今年次男のチームは、4校全てが公立高校のラッキーなくじ運。県大会出場の好機、と盛り上がっている。それは他の3校も同じだと思うが、少し期待して小田原まで向かったわけである。

    試合は相手チーム左腕エースのスローカーブにタイミングが合わず、こちらの打線は凡打の山。1点先制されたまま6回まで無得点に抑えられていたが、7回にようやく次男のタイムリーで同点に追いついた。

    しかし投手に疲れが出る後半試合が動き出し、相手に8回、9回で5点を取られてしまった。こちらも8回裏に2点を取り、9回裏も次男がヒットで出塁し1点を返したが、反撃もそこまで。6対4で敗れてしまった。

    帰ってきた次男は「勝てると思ったんだけどなー!」と珍しく悔しさを口にしていた。

    我が家の中で最も運動センスに恵まれている次男は、何でもそつなくできる故か、勝負への執着心が薄く、これまで負けて泣いたり悔しがったりしたことが全くない。野球そのものは大好きで試合に出ることも楽しいのだが、負けても「しょうがない」というある意味のクールさ。

    そして彼は高校入学当初、野球部に入らなかった。

    弱小県立高校なのに異常に長い練習時間、顧問の意向による実質的な丸刈り強要など、非合理的な部の体質が合わないと考えたのだろう。

    ただ毎日カープの勝敗と大谷のホームランを気にしている野球好きで、センスにも恵まれている息子が、日々悶々と過ごしているのは、親として「どうしたものか?」と思っていた。

    結局、彼は夏に野球部に途中入部した。

    それからまあ、色々あったのだが、前顧問の部員への丸刈り「実質的強要」は、高校から「ハラスメント」と認定され、全部員に謝罪して撤回された。それもあってか今年4月は、去年の倍以上の1年生部員が野球部に入ってきた。

    そして夏大会後、前顧問が退任し、20代の若い先生が新たな顧問に就任、次男の代が主力になった野球部を現在率いている。

    夕食は妻が出かけるため、留守番の双子がカレーを作ることになっていたが、炎天下の試合の後で緑黄力野菜が必要な気がして、帰りに逗子のオーケーで買い物。我が家的にはご馳走で、子どもたちも好きなエビとブロッコリーのサラダを山盛りで作った。

    テレビでは甲子園の早実対大社高校のタイブレーク延長戦。

    11回裏、代打で出てきた大社の先頭打者を見て次男が「この選手、島根予選も全く出てないのに何でこの場面で代打なんだろう?」と言っていたら、三塁線に芸術的なバント!そして大社がサヨナラ勝ち。

    試合終了後の監督インタビューを聞いたら、「ここでバント決められる自信があるもの、手を挙げろ」と選手集めて聞いたら、彼だけが手を挙げて「サード側に決めてきます」と言ったそうな。

    次男と顔を見合わせて思わず「すげーな」と声が出てしまった。

    ブロック予選、初戦は敗れたが、2勝1敗でも突破できるので、まだ十分可能性はある。試合は明日もあり連戦。

    悔しさを見せた次男がどんな活躍や成長を見せてくれるか、楽しみだ。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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