フライング水無月
5月30日生まれ多いのか?(笑)次男は18年前、東京広尾の社宅で生まれた。自宅出産! 3人目、妻が助産師さんにお願いして...
風早草子
カザハヤソウシ
2024年11月12日
古いCDはどうしてますか?という話がしばらく前にあったと思いますが、私は1年ほど前にこの機器を使って古いCDの曲をiPad miniに取り込んだ。Amazonで買って1万円くらいだったか?地道に一枚ずつプレイヤーにセットして、取り込みたい曲を選んでいった。1週間くらいかかったか?
音楽マニアでもないし、さほどの愛好家でもないが、これまで買ったCDは数十万円分あり、死蔵するのも勿体無い。今どき、たいていの音楽はSpotifyとかで聴けることは分かっているが、やはり自分で買った音楽はデータとして自分で持っておきたい。
iPad miniは256GBで、100枚近いアルバムから数百曲?を取り込んだが、ストレージを圧迫するほどのデータ量にはなっていない。
なんの一貫性もないコレクションだが、買った頃の事情や思いはそれなりに覚えている。一人で車で実家に向かう1時間くらい、全曲対象にランダム再生すると、次々意外な曲が流れてきて結構面白い。aiko〜サンタナ〜必殺仕事人のテーマ〜ビョーク・・・みたいな感じ。(ちなみに私は子どもの頃から中村主水の大ファンだ)
基本、何が流れてきても、アハハなのだが、イントロを聴くだけで苦い思い出が呼び起こされる曲もある。
タイトルに掲げた橘いずみのアルバムがその筆頭だ。30年ほど前、私がドキュメンタリーのディレクターとして、北海道で悶絶苦闘していた頃に聞いていた。
中に「打ちのめされて」という曲があるが、この歌詞にシンクロしていた当時の心理状況はかなりヤバい。励ましてくれる同僚にカラオケに連れていかれてこれを歌ったら、真剣に心配された記憶がある。
4年目くらい、ディレクターとしてある程度自信を付けていた頃、高い志を持って提案した番組だったが、完全に迷路にはまり込んでしまった。今の自分から見れば、シンプルに経験とスキルが圧倒的に不足していただけの話なのだが。
容赦なく雪が降る真冬の空知。自分でハンドルを握って現地まで行くのだが、完全に何をしたらいいのか分からなくなっていた。スマホどころか、携帯、パソコン、メールすらなかった時代。アポを取るにも公衆電話から電話するしかない。テレカを握り車を降りて電話ボックスから決意を固めて電話をかける。電話ボックス内も当然氷点下。粘ってこちらの思いを伝えるが、断られる。冬の北海道は日が短く、15時を回ると無情にも薄暗くなってくる。ああ、どうしたら・・・
思い出しても、口元に苦味が上がってくる。あの頃の自分に、「大丈夫だ。30年後には最強になってる!」と教えてやりたい。笑
ちなみにこのアルバムの代表曲は「失格」という曲だが、改めていま聴くと、色々感じることがある。未熟さや弱さを自覚しているからこそ、自分を肯定できない若者の辛さ、やるせなさからくる叫びのような歌だ。そう、若い頃って本当に辛かった。私も4年懸命に働いてきて、未だ自分が何者にもなれていない、という現実を突きつけられて、雪の大地で立ち尽くしていた気がする。橘いずみを聴きながら、必死にもがいていたのだと思う。
なお、今の視点で振り返ると、当時の上司はみな「失格」。笑
世話になった人も多いので、申し訳ないが、若者を育てる立場としてはとても雑だったし、能力もあまり高くなかった。まあ「優秀なディレクターは勝手に育つ。ダメな奴が育たなくても組織は困らない」という社風だったと思うが。だから自分が部下を持つ立場になった時、過去の上司のやり方は手本にも参考にもしなかった。時代が違うので、当時の上司を責めるつもりはないが、いつの時代でも育成や教育は丁寧にするべきだと私は思っている。山本五十六派かな。
神奈川県葉山町/57歳