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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    同期

    珍しく、超珍しく、会社の同期に誘われて4人で飲む。

    メンバーは、初任地札幌で一緒で腐れ縁なほど付き合ってた男、入社の頃から懇意で広島に同時に異動して妻とも一緒によく飲んで遊んだ男、東京で続けて一緒の班で仕事をし、同期の女子を誘って一緒にキャンプにも行ったりしてた男。皆、若い頃は大変濃い付き合いをしていたのだが、こうやって飲むのはもう20年ぶりくらいかも?

    みなディレクターなので、仲間でありライバルでもあった。若い頃、酒を飲みながらどれだけ仕事の話をしたかわからない。もちろん馬鹿話とか、上司の悪口とかもあったが。その延長で休みの日も一緒にスキーに行ったり、バーベキューをしたりしてよく遊んでいたわけなのだけど、友達、とはちょっと違う気がする。友達なら、20年もインターバルは空かないのではないだろうか?

    でも、互いにどういう人間であるか、知り尽くしている関係なので、何の戸惑いもなく会話が始まり、話は盛り上がった。一応、全員家族を持ち、子どもも元気に育っているらしい。ただ大学4年のうちの娘が一番年上だった。我が社のディレクター、晩婚が過ぎる。(笑)

    それぞれ、今取り組んでいる番組、そのテーマ、そして子どもの学校、進路、スポーツなど、共通だったり、興味深い話が多くて、端的に言って楽しかった。私の現在のプロジェクトのことも面白がって聞いてくれた。

    40代の頃、50代の先輩に「50代になると飲み会の話題って、それぞれの病気の話ばっかりだよ、あとは親の介護とか」と言われたことがある。そんな50代にはなりたくないなー、と思ったし、そんな飲み会はそもそも行かなくていいなー、と思った記憶がある。でも幸い、我が同期たちは、私以外もみな健康そうで病気の話をする奴はいなかった。素晴らしい。そしてまた例の如くフルマラソンに誘われた。何でみんな、そんなにマラソン大会が好きなんだ?(笑)

    私以外の3人は、概ねこれまでのディレクター業の延長でコンテンツ制作に今も携わっている。そして3人ともすでに関連団体に転籍済みだ。本体に残っているのは私だけ。そしてやっている仕事は、本業と離れた謎のけもの道。自分の特殊性を改めて実感させられた。この先、自分はどこへ進むのか?57歳。(笑)

    一人が、次に目指している番組のテーマがラグビーということで、ひとしきりラグビー話も盛り上がった。私もラグビー好きだった父親の影響で、少しラグビーには詳しいし、長年のウォッチャーでもある。そしてその中で、数年前に平尾誠二氏が亡くなった時にTVKで放送していた番組の話をしたら、いたく興味を持ち、ぜひ見たい、ということに。我が家のブルーレイにまだ録画が残っているので、ディスクに焼いて、渡してやることになった。そういう協力は惜しまない。というか、自分の与えたヒントが人の番組に影響を与えるのは、ディレクターの本能としてやりたくなることだ。人に与えたヒントがどういう影響を及ぼすか?、そして一方、自分は人からどんなヒントを受け取るか?、そういう世界だからこそ、若い頃、この連中と、飽きもせず、飲み明かしていたのだろうと思う。

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

    ©30YEARS ARCADE