夏の色
富士山の雪が残り少なくなってきた。そして空と雲の色が、夏、という感じになってきた。浜では海の家の建設が進んでいる。アオダ...
風早草子
カザハヤソウシ
2025年7月16日
s高3野球部員、次男の夏が終わった。
3回戦、相手は本気で甲子園を目指している私学。強かった。結果は7回コールド負けだったけど、こちらも9安打を打ち、3点を奪った。何もできずに負けたわけではない。よく頑張ったと思う。次男は、6回裏、ノーアウト2、3塁という絶好のチャンスで打席が回ってきたが、ここは打てる球が来ずフォアボールだった。でもチームはこのチャンスで2点を返した。ヒットは打てなかったけど、今日は守備で頑張っていた。一回表、相手が2点を奪ってなお二死1、3塁という場面、一塁走者がスタートを切り、仕掛けてきたが、キャッチャーの二塁送球を次男がベースの前でカットして素早く送球し、ホームを狙った3塁ランナーをタッチアウトに仕留めた。そして10対3で迎えた7回表、さすがにヘトヘトのエースがノーアウト満塁という大ピンチ。ここで相手の当たりは痛烈な1、2塁間を襲う痛烈なライナーだったが、次男がなんとかグラブに当てて止める。そしてそこから近い一塁ではなく、ホームへ送球して、失点を防いだ。10対3で迎えた7回裏、1点でも返せばコールドを逃れ、まだ試合が続く。しかし8番9番が打ち取られてツーアウト。でもこのあと、今日絶好調の1番の選手が4本目のヒットで出塁、続くキャプテンエースもヒットで続き、二死1、3塁で次男。ここで一本出ればまだ試合が続けられる。ツーボールからの3球目、次男渾身のスイングの当たりはセンター前か?と思ったのだが、この時、1塁ランナーがスタートを切って、ショートがセカンドベースに動いていて、打球はちょうど守備範囲になってしまった。遊撃手が少しはじいたものの拾ったボールを1塁へ送球し、アウト。次男がチーム最後の打者となって、彼らの夏は終戦した。
一回戦を戦うチームの半分は一勝をできずに終える夏の大会。もちろんくじ運もあるのだけど、一勝することが県立高校にはとても難しい。次男たちはその一勝をチームとして3年ぶりに手にした。さらに2勝目を10年ぶりに勝ち取った。そして夏の大会、公式戦ユニフォームを着て3試合を戦い切った。
球場から出てきた選手の中には泣きじゃくっている子も何人かはいたけど、総じて戦い切った満足感、達成感、そして誇らしさが漂っていた。ダンス部、吹奏楽部、OB、そして今日は一般生徒も学校を休んで多くが応援に来てくれていた。祭りの余韻を惜しむように、一緒に写真を撮ったり、健闘を讃えるやり取りが長く続くのを私は少し離れた場所からずっと眺めていた。次男たちにとって忘れられない夏になっただろう。
仲間と帰るという次男を残して妻と帰宅。やや虚脱感もあり、ゆっくりしたい気分だけど、そうもいかない。次男の高校授業料の就学支援金というやつの申請が今日までなのだ。この春、急遽決まった制度で、春先に高校に問い合わせたが、まだ具体的な手続き方法すら決まっていなかった。それが私が忙しかった間に次男が書類をもらってきていて、昨日ようやく確認したら、期限が明日まで。野球の試合があるのでちょっと心配で高校に問合せたが、何とかはなりそう。とりあえず今日で試合が終わったので、家に戻って真っ先にこれに取り掛かる。とりあえず高校に書類を一枚提出した上であとはオンラインでマイナンバーとかを登録するらしい。そのIDとパスワードを高校に発行してもらうので出向くのが早そう。天気が崩れてきそうだが、急ぐ必要があるのでバイクで高校へ。案の定、途中で強い雨に降られて野球の応援Tシャツがびしょ濡れ。だが幸い、事務の方がとても丁寧にレクチャーしてくれてなんとか期限内にオンラインの申請まで済ますことができた。支援金が11万円ほど出るので、申請し損ねるわけにはいかない。
びしょ濡れで帰ってくると、友人に会いに行く長女が逗子葉山駅まで送って欲しいということ。そのタイミングでうちの辺りはまた土砂降りの雨に。娘を下ろして帰ろうとしたら、今度は次男が駅に着くという連絡。家に戻らずJR逗子駅へ。この時、saicoさんたちに見られたのかな?
暑いスタンドで重い望遠レンズを振ってシャッターを切り続けていた妻は疲れて寝ている。夕食の準備はしておいた方がいいと思うけど、私も今日は面倒なことはあまりしたくない。ということでホットプレートで焼き肉にすることにして肉だけ買ってくる。あとは少し走って風呂に入って肉を食べるだけ。今日は少し奮発して国産牛のステーキ用の肉も。でも実は半額値引き品だった。それを言うと妻に「今日くらい高いお肉をバーンと買えばいいのに」と笑われた。我ながらケチが染み付いている。(笑)でも、そうじゃないと5人の子どもは育てられないと思っているけど。
さて、祭りは終わったけど、まだ日常に気持ちはすぐに戻らないかも。頭の中ではスタンドで聞き続けた吹奏楽部の応援曲が鳴り続けている。次男が打球を打つ金属音、湧き上がる歓声、ランナーホームインで打ち鳴らされるメガホンの音。私にも忘れられない夏だ。
神奈川県葉山町/57歳