走る方角を変えてみよう
タイトルは、PEOPLE1の歌い出しのパクり? 休日の日記はとりとめなくツラツラ書いてみる。 双子は私立高校の学校見学へ...

風早草子
カザハヤソウシ
2025年11月20日
先週からやや喉の調子が悪くて少し咳が出る。何年ぶりかな?熱もだるさもないので、仕事にも生活にも支障はないのだけど、普段が至って健康なだけに、少し咳が出るだけで「もう健康のピークは過ぎてあとは下り坂か・・・」みたいな弱気な気分に少しなる。(笑)大袈裟だ。たぶん、先週から仕事でかなり怒り心頭なのも影響しているのだろう。主管部局内の連携、引き継ぎ不足に原因があることは間違いないのだが、飛んだとばっちりを喰らって大迷惑。木、金と長文の抗議メッセージを送っただけでは飽き足らず、土曜日の早朝にもパソコン立ち上げて追伸を送ってしまった。流石に向こうもビビって今週、事態の収集に動き出しているようだが、油断はならない。
夜、仕事から帰ると、妻も仕事でムカつくことがあったと怒り心頭。話を聞くと、確かにそれは腹立つ。長女も実験の進捗が捗々しくないようでイライラモヤモヤ。家中、ネガティブモード。(笑)

それはさておき、今朝の新聞に大きく原民喜の記事が出ていた。広島で仕事をしていると原民喜とか峠三吉とか、否が応でも目にする名前なのだけど、全国的な知名度は現在においてどうなのだろう?東京の新聞で急にこんなに大きい記事を見て意外に感じた。いわゆる原爆作家で「夏の花」とか、被爆体験を綴った作品や詩を残した人だが、10年ほど前に不意打ちを喰らったことがある。
広島から東京に転勤した時、一人先行単身赴任していたため、子どもが産まれてから初めて、時間を持て余す、という状況になった。ただし単身赴任中の生活費は限られているので金を使って遊び歩くことはできない。だから走りまくっていたのだけど、休日に一日中走っていられるわけもない。そこで無課金でできる暇つぶしの一つに当時やったのは、手に入れたばかりのiPad miniで青空文庫を読むことだった。みなさんご存知だと思うけど、著作権の切れた作品が電子書籍で無料で読めるやつだ。元来、文学とか文芸に興味が薄いので、有名だけど読んでない作品は無数にある。別にそれは恥じていないのだけど、まあ時間があるので、少しは読んでみようかと。で、未読の漱石作品とか、チョロチョロ読んだりしていたわけだ。そういう中で読んだものの一つに「ガリバー旅行記」があった。例の小人の国とか巨人の国に行く、有名なあれだ。お話としては知ってるけど、原作をちゃんと読んだことはなかったので、まあ読んだ。なかなかアバンギャルドな作品だ。そして突拍子もない国に行く合間にガリバー、日本にも来てるのね。ここだけ、オランダ人の振りをして江戸に行く、とか、長崎から帰る時に踏み絵を勘弁してもらうとか、妙に現実的ななのはなんでなんだ?とか、ツッコミどころは多い。だが、どんでん返しは巻末にあった。作品の後ろに訳者によるあとがき、解説が付いている。それが最初は、作品の解説とか、作者スイフトの人となりとかを書いているのだけど、そのあと、唐突に「今日は8月6日、ヒロシマの惨劇から5年目です。」と訳者の一人語りが綴られ始める。なんだこりゃ?と思ったら、訳者が原民喜だった。思わぬところで原民喜と遭遇してかなり意表を突かれた記憶。
ちなみに原民喜は、仲の良かった奥さんを1944年に結核で亡くし、1945年、広島の実家に疎開している中で被爆し、火傷や怪我は負わなかったものの、それからのち、体調はすぐれなかったようだ。そして、1951年、つまりガリバー旅行記のあとがきを書いた翌年、鉄道自殺している。親族や交流があった遠藤周作などの作家に17通の遺書を残していたらしい。(wiki情報)原民喜の作品は「夏の花」も青空文庫で読めます。

神奈川県葉山町/58歳