歯医者は年内終了
歯医者に行って、縫合した歯茎の抜糸をしてもらう。痛みや異常は特になく、経過は良好。抜いたあとの次の処置など、治療は続くが...

風早草子
カザハヤソウシ
2025年12月6日

在宅勤務開始前のランニング中のショット。御用邸裏の小磯の鼻の岩場に多数のウ。カワウではなくウミウだと思うけど、距離があるので確信はない。別に富士山が入った写真をそれほど撮りたい気持ちはないのだけど、さあどうぞ、という位置にくっきり見えていると、どうしても背景に入れたくなる。逃れがたい富士山の魔力。かくして葉山に住んでいるとスマホの画像が富士山だらけになる。今日は快晴だけど、波は荒くて、岩に当たって白く砕けて飛沫が上がっていた。富士山と岩に砕ける波、という松竹と東映を合わせたような光景がこれからの季節はしばしば見られる。
今日は芝崎海岸にウミアイサの15羽くらいの群れがいた。小さい群れだが、ユリカモメを引き連れて、魚群目掛けて飛行して、フライングダイブ!という活発な採餌行動をしていた。まあ仕事しないといけないので、カメラ取って引き返すというのは今日はなし。やり過ごしてしばらく走っていたら、真名瀬で双眼鏡を持って一人で海を見ている、私より高齢の女性がいた。葉山で野鳥観察をしている人を見るのは珍しい。声をかけてウミアイサがいることを教えたら、「それが見たかったんです!」と言って喜んで自転車で走っていった。

森戸海岸にはウの死体。浜に鳥の死体が打ち上げられていることはよくある。見つけたら、一応検分する。種類、変な死因の可能性、そして足に標識となる足環がついていないか。野鳥には環境省の委託で山階鳥類研究所から認定された調査員が毎年全国で多数を捕獲して足環を付けている。足環を付けた鳥がそのあと、いつどこで記録されるか?というのは、重要な情報なのだけど、足環を付けた鳥が再捕獲されたりする確率は非常に低く、データは放鳥数に対してとても少ない。また鳥は小さくて足環も小さいため、野外で金属製の足環を付けた鳥を観察者が発見しても、番号が読めるほど近づけないことがほとんどだ。でも死んでいる鳥なら、足環の番号はしっかり読める。だから、鳥の死体があったら、可能性は低いけど、必ず足環がついていないか、確認する。知り合いに標識調査員もたくさんいるし、若い頃、手伝いで私もかなりの数の鳥に足環を付けた身なので、これは癖みたいなもの。葉山でも一回だけ、足環を付けたウミネコの死体を見つけたことがある。死体と足環を写真に撮って山階鳥類研究所にメールで報告するととても感謝される。いつどこで捕獲された個体かも教えてくれる。点と点がつながり、貴重なデータの一つになるのだ。
国境も海峡も関係なく、飛び越えて地球をダイナミックに行動する鳥の生態は、まだ分かっていないことだらけだ。知りたいことは無尽蔵にあるので興味は尽きない。最新のトピックとしては、現在、静岡市の海岸にクビワカモメという激レアなカモメが飛来して、話題になっている。グリーンランドなどで繁殖し南米などに渡るカモメで日本は渡りのルートに入っていないのだけど、翼を持つ鳥の世界では、どういう事情なのか、こういうのが間違って日本にやってくることがある。レア度合いは出現頻度によって松竹梅とあるのだけど、クビワカモメは完全な松だ。どうやらユリカモメの群れと行動を共にしているらしく、え、そういうのなら葉山でも可能性が?という気持ちになり、ここ数日、普段はスルーしているユリカモメにこれまでよりちょっと気をつけている。(笑)
クビワカモメは私も未見なので、見たい気持ちもあるけど、現場のカメラマンと観察者のラッシュを想像すると、ちょっと面倒かな。バードウォッチャーの世界では、自分が見た鳥の種類数を競う文化もあり、見たことがある種類の一覧を自分の「ライフリスト」という。日本で記録されている野鳥の種数はだいたい550くらいだったかな。今はもっと増えているかも。野鳥を見始めると、最初に目指すのは200種類突破、みたいな感じ。これはさほど難しくなくて、夏冬の北海道、冬の伊豆沼、冬の九州、そして沖縄や伊豆諸島に行けば、本州では珍しいが現地では普通という鳥をゲットしてクリアできる。観察力や識別力は関係なく、お金と時間があれば簡単という身も蓋もない話ではある。ただ私たちは中学生の頃、まだお金も時間もなくてそういう遠征ができない頃に、ライフリスト拡大に力を尽くしていたので、身近なフィールドで地道に珍しい鳥を探して見つけてリストを積み上げていた。だから金にあかして遠征して楽にリストを増やす年配の初心者バードウォッチャーに反感?みたいな感情を持っていた。(笑)しかし、大学生になると私も金はあまりなかったけど、それなりに遠征を行ってライフリストを積み上げ、300はクリアしていた。300はそれなりにクビワカモメ的なレアものをゲットしていかないと難しい数字だ。
というような世界なのだけど、これが現在はネット社会になっているので、どこかに現れた珍鳥の情報はあっという間に拡散して、現地に人が殺到することになる。またどちらかというと、ライフリストを増やしたいバードウォッチャーよりも、珍鳥をカメラに収めたい撮影マニアみたいな人間が多い。こうしたカメラ命みたいな人は、高齢男性が圧倒的に多いのだが、マナーの悪い人間がそれなりの比率で多くて、総じて評判が悪い。田舎の田んぼの狭い畦道に大量の車が殺到して農道に三脚超望遠レンズの砲列が並び、地元の人の生活に支障が出たりするわけだ。ということで、珍しい鳥の情報を聞くと、見に行きたい気もするけど、ああいう下品な集団には混じりたくないな、という感覚も働いて躊躇する。今はもはやライフリストを人と競ってるわけでもないし。私のライフリストは何種類くらいだろう?350くらいだったかな?たぶん一番最近増やしたのは、このサバクヒタキという鳥。藤沢の市街地のコンビニ横のちょっとした畑に3年前に飛来して大騒ぎになった。大変な迷惑になったらしい。その騒ぎに加わるのは嫌なので近いけど、しばらく行かなかったが、長期滞在して騒ぎも収まったようなので見にいった。中央アジアの砂漠地帯で繁殖する鳥で日本にはごく稀に記録がある。人間がいない砂漠地帯の鳥らしく?人への警戒心がとても薄くて目の前にやってきてじっくり観察できて楽しかった。その頃、もう人はいなかったが、現場には注意書きがあった。でも、人から聞いた情報で珍鳥をゲットするのも悪くはないけど、それよりは情報がない場所で自分で珍鳥を発見する方が100倍嬉しいし楽しい。だから私は、どちらかというと、人がいない場所を目指して鳥を探し歩く派。

さて、今週は骨折のおかげで5日中4日の在宅勤務。送迎、病院、そして入浴の手伝い。早めに治ってくれい!

神奈川県葉山町/58歳