新しいシューズと
この週末も出来事山盛り。 芋掘りは日記に書いたな。妻の仕事を朝5時から手伝ったり、双子のチームが強豪にボコボコにやられる...

風早草子
カザハヤソウシ
2026年3月24日

仕事関連の本を色々見たくて、池袋のジュンク堂へ。渋谷、基本何でもあるのだけど、東急本店の閉店で丸善が無くなり、大きい書店が現在ないのは街として欠陥。ディレクター業務をしていたら、支障は非常に大きい。今の仕事ではそこまでではないけど。ただ気軽に大きい書店に行ける環境は重要だ。私の仕事のヒントにするような本は、基本的に普通の町の本屋さんには並んでいないことが多い。
ということで、わざわざ電車で池袋。池袋も渋谷同様、大都会だけど、桜の季節が近付き、インバウンドのカオスが高まっている渋谷に比べると、外国人が少なくて静か。現在、渋谷はスクランブル交差点が青になるたびに、いちいちカオスな状況。(笑)
仕事の本を物色したついでに、趣味の本を買う。というか、こっちがむしろ本題か?(笑)長谷川政美さんという人が書いている進化関連の本がわかりやすくて興味深い。ゲノム解析関連は、情報の更新が早いので、新しい本を見ないとダメ。古い本は情報が古い。DNAの解析で、昔に比べると鳥でも動物でも植物でも、分類の考え方は大きく変わっている。ワシタカの仲間にされていたハヤブサの仲間は、スズメやオウムに近い別系統になったり、ウシとかシカとかイノシシの仲間、偶蹄類にクジラも入ったり。木にしても、昔は身近に生えているケヤキ、エノキ、ムクノキといった落葉高木、まとめてニレ科だったのに、今、エノキとムクノキは、全く違うアサ科になっている。似てるから同じ仲間、という昔からの分類はかなり覆されている。

とりあえず長谷川さんの本を2冊と鳥の雑誌。なんでここに辿り着いたかというと、この冬に観察しているムクドリの食性から。ムクドリが家の庭で食べているもの、どう見ても腐った葉とか、朽ちた木材のカケラ。どう考えても動物に栄養はなさそうなんだけど、頻繁に飛んできて盛んに食べている。食べるからには、栄養になるはず。もしかして、葉や木を分解している菌類、つまり菌糸を食べているのでは?と思っている。腐葉土や朽木を食べるものとしては、カブトムシやクワガタの幼虫がいる。クワガタの幼虫が朽木を食べることは子どもの頃から本で読んでよく知っている。でも、朽木とか腐葉土って、なんの栄養があるの?という話。そもそも木を構成するリグニンという物質、分解できる生物はいわゆるシイタケとかキノコの仲間、白色腐朽菌、ハラタケ綱の菌類しかいない。クワガタの幼虫は消化できないだろう。そして実はこの数十年、クワガタ虫の飼育の世界は、キノコを栽培するのに使ったおがくずを詰めたビン、いわゆる菌糸ビンというので、育てるのが主流になっている。とてもよく育つらしい。ということは、クワガタの幼虫というのは、木とかおがくずを食べているのではなく、そこに繁茂している菌糸を食べているのではないか。カブトムシだって腐葉土そのものではなく、葉を分解して繁茂している菌を食べているのではないだろうか?そしてムクドリとか、鳥の中にもそういう菌糸を栄養にするものがいるのではないかな?と。そういうことを考えると、そもそもリグニン分解能とか、クワガタじゃない、木そのものを食っているカミキリムシの幼虫とか、シロアリはリグニンをどう消化しているのか?とか、諸々疑問が出てくるのだけど、長谷川さんの本には、そのヒントが色々書いてある感じで、思考の肥やしになりそう。
ちなみにリグニンの生成とその分解能の発生は、教科書の振り返りになるけど、地球の環境、生物の絶滅や興隆に重大な影響を及ぼしてきた。地上に進出した植物が、より多くの光を浴びようと、上へ上へ体を伸ばす骨格として発明したのがリグニンだ。しかし、このリグニン、植物がどんどん作るのに、当時の地球に分解できる生物がいなかった。でもそんなことはお構いなしに植物は大量のリグニンを生成し続けた。現代の人間のプラスチックみたいだ。本質的に生物というものは利己的で、リサイクルのことなんて考慮しないのである。だから枯死した木は腐ることなく、堆積し続けた。これが時代を経て石炭になり、その時代が石炭紀と言われることになる。6000万年くらい続いたらしい。ひたすらCO2を光合成で使って、リグニンはそのまま、となって起きたことは一つが酸素濃度の上昇だ。現在21%の酸素濃度は35%くらいまで上がったそうな。そういう世界だったため、巨大なトンボとかがいたらしい。そして一方でCO2が減ると起きるのが寒冷化。のちに氷河期につながっていく。この石炭記に終止符を打ったのが、キノコの仲間、リグニン分解能を獲得した白色腐朽菌の登場だ。彼らはそれまでのざらしで石炭化する運命だった枯れ木を分解し始めた。しかしこの分解には酸素が使われるため、高かった酸素濃度は、以降の時代、急速に下がっていく。続くペルム紀は15%、ジュラ紀は12%まで下がり、石炭紀に栄えた巨大トンボとかは消えてしまう。酸素濃度12%というのは現在だと5000メートルくらいの高山に相当するらしい。石炭紀には単弓類という私たち哺乳類の先祖にあたる恐竜の仲間が繁栄していたのだが、私たちと同じ、横隔膜を使う呼吸方式が低酸素時代に適応できず、ほとんどが絶滅してしまう。それに代わって繁栄したのが鳥の先祖にあたる新タイプの恐竜ということになる。気嚢という遥かに効率のいい呼吸方式は、現在の鳥にそのまま受け継がれている。だから鳥は、人間が高山病で死ぬ危険があるヒマラヤのそのまた上を、全力で羽ばたいて飛び越えるような芸当が可能なのだ。
まあ結局、地球の歴史というのは、大繁栄した生物が地球環境を改変してしまい、その結果、大絶滅とか、生物の大きな入れ替わりが起き続けてきたものなのである。人間による環境の改変とか温暖化も、ざっくり言ってしまえば、その続きに過ぎない。とりあえず酸素濃度12%のジュラ紀とか、たとえドラえもんがタイムマシンで連れて行ってくれても、私たちはとても冒険する元気は出せないはずだ。
我が家は春休みで本日、鹿児島から雑食性の大男が帰省。水産学部生なので、トーさんのこういう妄想生の話題に一番よく付き合ってくれて楽しい。(笑)

神奈川県葉山町/58歳