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    もしもし五島列島

    もしもし五島列島
    モシモシゴトウレットウ

    はやくあしたにならないかなあ

     

    月に一度、全校生徒10人くらいしかいない離島の学童に絵を教えに行ってる。教えにというか、特に何もしてなくて、やることいって子供たちに投げやりなのだが、子供たちがとても素直過ぎて可愛い。

    船で往復するので、毎回見送りを全力でしてくれたり、全力で出迎えてくれてすぐに「大好き」とかも言ってくれて、ホワイトボードに「大好き」と書いてくれて、学童の外の床にチョークで「大好き」とも書いてくれて、セラピー施設なのかなと毎回思う。

    しかしこの「大好き」はホストのセリフくらい軽いもので、外に虫が出るとみんな興味がそっちに行って何もしれくれなくなる。今日はヤモリに大好きを全部取られてしまった。

    だけど、「ヤモリ、もしもしちゃん(私のこと)に見せたいね」「見せてもいいかな?」「見せてこよう」と、まる聞こえのコソコソ話をして、ルンルンでヤモリを見せに来てくれて、私は正直、虫が嫌いで特にヤモリのようなしっとりしていてねっとりしているものは結構無理なので「すごいね」とかなり遠くから雑な感想を行って、本当に苦手なのでそのごは険しい顔で無言になってしまった。それでも子供たちは、私にヤモリを見せれて嬉しかったようで、ルンルンでまた外に戻っていった(一応体験時間の途中ではある)

     

     

     

    (島に教えに行ってる話の続き)

    明日は楽しいイベントというか、島の子供達が私のことを島案内してくれる日で、「早く明日にならないかなあ」と、とある子がずっと言っていた。

    確かに、私も子供の時はこの言葉を言うと本当に明日が早く来るように感じていたし、しょっちゅう言っていた。

    大人になるとあんまり言わなくなるなと気づいた。美味しいご飯の予定や、実家に帰る日など、楽しみなことは日々たくさんあるけど、それに対して「この日のために頑張る」とかはあるけど、カウントダウンするとか、早くくるように祈るとか、あと何回寝たらいいとかはいつの間にか考えなくなっていた。

    「早く明日にならないかなあ」は魔法のようなことばだと思っていたのに、いつの間にか、日々のやらなきゃいけない風なことたちに追われまくって、締切に追われ、歳を重ねることも怖くなるようになって、明日という存在がキラキラしたものじゃなくなって行ってる。

    嫌だなあ、どうしようかなあ、早くこの日が過ぎてくれないかなあ、はたくさん考えるのに、キラキラした希望のことや楽しみに全然目を向けなくなってしまって、楽しいことはたくさん起きているはずなのにぼんやりし過ぎていろんなことを見逃してしまっている気がすることにこの子がたった1時間の間で「早く明日にならないかなあ」という言葉を30回は言っていたことで気づいた。

    楽しい未来のことだけ考えて、楽しい未来に向かってワクワクしながら生きていたい。

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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