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    もしもし五島列島

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    モシモシゴトウレットウ

    ガウディ展、高いね。2400円のチケット分楽しめたのか、人混みの中を早歩きしただけだった

     

    「なんば言っとるのか、なんをしちょるのか、なんもわからんよ」(何を言ってるのか、何をしてるのか何もわからないよ。の方言)

    祖父が認知症になって5年ほど、祖父からはこのほぼ言葉しか聞いてない。そりゃそうである。そうなってしまう病気なのだから。

    だけど、何もわからなくてもずっと穏やかで笑顔で祖父は変わらないし、わからないことをわかってて、それをちゃんと言えることがいちばんすごいことだと思う。

    ガウディ展に行った。正直何もわからなかった。子供もたくさんいて、体験もたくさんあってわかりやすくなってるのに。わからなかったし、人も多くて疲れて早歩きで出て、2400円の入場料払ったのに、私は早歩きで人混みの中を歩いただけじゃないか。みんな楽しそうだったのに。と悲しくなった。

    その前日、おジャ魔女ドレミという我ら世代の伝説的アニメの展示が期間限定であって、絶対に見たい!と思い、会場の目の前まで行って入場料が2200円なことを知って、すぐ帰ってしまった。

    通りがかりのグループが「2200円か〜、2200円分も楽しめるか不安で払えんわ」と話しながら歩いていた。私もそうだ。

    これが食事ならみんなに同じ量だけ分け与えられて、同じサービスが来るから自分がちゃんとその料金分楽しんだ感がわかるし、物を買うときはもっとわかりやすい。展示は、情報などのあらゆる目に見えない価値や体験を届けてくれている分、受け手の力量が試されている感じがして怖い。自分はそこまで楽しめるか・・・・なるべく楽しまなきゃ・・・と思うと、せっかく楽しみなのに憂鬱な気持ちになる。

    だから無料の展示にしか行けなくなってしまった。小さい頃は親が連れて行ってくれてもっと素直に楽しんでいたのに。お金に縛られる、囚われるって本当に嫌だ。

    食事を先ほど例に出したが、食べ放題やビュッフェは例外で、たくさん食べて得をしよう〜〜〜!という思いが強すぎるあまり、毎回胃もたれして、ひどい時は病院に行く始末になるくらい気合い入れすぎるので、もはや得でもなんでもなくなるし、大好きなのに、毎回苦しい顔と悲しい気持ちで帰っている。

    3連休の後の今日も休みな無職な私は、家でぐうたらしようと思ったけど、せめて何か学ぼうと、美術館と科学館に行く予定を入れて、朝から元気に出発した。

    しかし、目の前まで来て、今日が休館日なことを知る。3連休の後の火曜日だもんね。

    「残念」よりさきに「よかった〜」の感情がきた。気持ちが楽になった。

    それはこの経験を私は楽しめるかのプレッシャーからの解放だったんだと思う。

    もっと素直に今を楽しめばいいのに。

    人生もそうで、全ての時間に意味や価値を見出さなきゃと思うから常に険しい顔して生きてしまっている。そもそも生きてるだけで嬉しいことで、私がそこまで何かを極めたり頑張ったりする役割はないのに。無職だし。

    意味と価値を見出さずにお金もうなぎにかける山椒の如く、パッと、そのものに使わなきゃだよねって感じで執着も何も無しに当たり前に使って、素直に今を味わって生きる人になりたい。

    まあだけど、

    「ガウディの手法もトリックも考えも全てわかる」と彼女に腕を組みながら言って展示も何も見ずにおしゃべりしてたひとよりは、わからないことをわかっているわたしのほうが、ガウディのことをわかっているかもしれない。

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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