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    もしもし五島列島

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    モシモシゴトウレットウ

    ご機嫌の騒音

     

    ご機嫌でいよう、と最近よく思う。

    機嫌がいい人のそばには、いい空気が流れる気がするし、自分の人生を自分でちゃんと抱きしめている感じがするからだ。

    だけど、皮肉なことに、毎日そばにいる「ご機嫌すぎる人」に、私はひどくイライラしている。

    母だ。

    私はオンライン授業を受けている。先生の声を必死に聞き取ろうとしている、そのすぐ横で、母は自作の下ネタの歌を、やけに明るい声で歌いながら出かける準備をする。

    歌は一番の盛り上がりで中断され、そのままトイレに入り、出てくると今度は犬に向かって全力で話しかけている。早く出かけないかな。

    家の中に、常に「母のご機嫌」が鳴り響いている。

    私はそのたびに、心の奥がざらざらする。

    どうしてこんなに呑気なんだろう。

    どうして空気を読まないんだろう。

    どうして、こんなにご機嫌なんだろう。

    ご機嫌でいることは、いいことのはずなのに。

    ご機嫌すぎることは、ときに騒音になるのだと知った。

    でも、午前中のタスクと、ランチを終えて気づいた。

    母が悪いわけじゃない。

    私に余白がないだけだ。

    心に余白があるときの私は、母のご機嫌にむしろ乗っかってる。飛び越えてる。

    犬に一緒に全力で話しかけるし、ともに歌う。

    でも余白がなくなると、それはすべて「ノイズ」になる。

    家の中では、究極に呑気な存在がいるおかげで、私は「まとも」でいられている気もする。

    もし母がいなかったら、私はもっと自分の呑気さに気づかず、もっと誰かをイライラさせていたかもしれない。

    社会に出たとき、「中村さんってマイペースだよね」と言われたことがある。

    その言葉を、私は褒め言葉だと思っていた。

    でも今ならわかる。

    それは、もしかしたら誰かの余白を奪っていたかもしれない、ということを。

    ご機嫌でいることは、いいことだけど、これを表現し続けるのはいいことじゃないかもしれない。自分の中だけで鳴らす音楽でいいのかもしれない。

    自分の中の呑気ボックスを相手の許容量に合わせて大きく出したり引いたりすることが正解なんだと思う。わかんないけど。けど、本当の呑気なら相手に合わせてる場合でもなさそうだし、こんなこと考えなさそう。

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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