三十年商店

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    もしもし五島列島

    もしもし五島列島
    モシモシゴトウレットウ

    漬物が虹なお店はいいお店

     

    観光地の露天で、漬物を売っている商店を見かけた。お祭り騒ぎの賑やかな場所だ。その光景を見た瞬間、やだなぁと思った。手作りなのか、手作り風なのかもわからん。

    「わざわざこんな観光地の、ちょっとぼったくり系のお祭り系の通りに、漬物っていう商売を絡めてこなくてもいいのにな」と思って険しい顔をしていた。

    そんな私の目の前で、あるご夫婦がその露天の漬物をパッと取ってパッと買った。

    横で見ながら、「もしかしてあの夫婦、騙されてるんじゃないのかなぁ」と心配をしていたけど観光客のわりには身軽で多分地元の人なんだろうな。と。

    この予想が確信に変わったのは、漬物を受け取った夫婦が、お店の人に向かって、

    「助かりました〜、おおきに」

    私は心の中で、えっ、と絶句した。

    助かりました?

    お祭りの屋台の漬物屋さんに向かって、助かりました、である。

    漬物なんて、言ってみれば日常の脇役だ。薬や水とは違う。最悪、いま目の前になくたって誰も死にはしないし、困らない。米ならわかる。だけど漬物だぞ。しかもスーパーでも買える。それなのに、あの夫婦は漬物を手に入れたことで「助かりました」と、ルンルンで帰って行った。

    助かりましたって言葉いいなぁと、買ってあげた感とかお客様は神様とかじゃなくて、お互い平等なかんじ。買い物の時のいい言葉だ。だけど私はまだ使えないだろうなぁ。買ってやった感を顔に出してそう。

    あの夫婦は漬物のことを漬物とおもっておらず、「食べ物」として平等にみてるんだろうな。ご飯のお供とか脇役とか思ってない。

    そんな素敵な買い物シーンfor 漬物を目にした日のお昼はステーキがどうしてもたべたくてステーキ屋さんに行っていた。

    お肉はもちろん美味しかったのだけれど、私が何より感動したのは、脇に添えられた漬物の存在だった。むしろもう漬物のことしか覚えてない。ご飯ももっちりつやつやだったなぁ。

    小鉢の中に、何種類もの漬物が、きれいにたくさん並んでいる。しかも、どれも出来合いのものではなく、ちゃんとお手製で丁寧に作られた、さまざまな種類の漬物たち。お肉を引き立てるために、静かに、でも手塩にかけて用意されたその景色を見たとき、胸がぎゅっとあたたかくなった。やっぱり、漬物って本当に素敵だ。食卓の虹なんだ!

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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