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    王様の耳は

    王様の耳は
    オオサマノミミハ

    ビンテージから見る戦争

    saicoさん、髪型は全体像もほぼエース君です。明日の仕事は年に一度の大仕事なので、ナメられないようトンガっていきたい気持ちがあります笑!!

     

    ミリタリー古着を扱うようになってから、もう何年経っただろう?

    はじまりは、有名なビンテージミリタリーディーラーのおじさんに気に入られ、時々催事の売り子バイトを頼まれるようになったのがきっかけ。当時は販売の経験も軍モノの知識もなかったのに、なぜかものすごく売れた。すごく売るから館の人にも気に入られご指名をいただくまでになった。

    催事の会期中、そのおじさんが脳卒中で倒れ意識不明だと連絡が入った。結局目覚めたのが数週間後。その後もほとんど車椅子か寝たきりで仕事が出来るまでには回復しなかった。

    そんなこともあり、今度はだんなさんもおじさんの手足となって一緒に仕事をするようになった。麻痺のため口調はおぼつかないけど、とにかくよくしゃべる。何かあればすぐ電話が来るし、入院先や施設にも呼び出された。おじさんの汚い倉庫でカビだらけになりながら商品を掘り出しては洗濯して売った。売れるから楽しかった。

    我が家は取りっぱぐれのないようがっちりやらせてもらったので感謝しかないけど、よく思ってない人も少なからずいたみたい。昔は従業員にお給料を払わず現金でフェラーリとか買っていたらしい。

    そんなおじさん、終戦記念日の今日が命日。すごい因果だ。

     

    今月末から阪急メンズ館でポップアップを開催するのだけど、今回はビンテージウェアの他にミリタリージュエリーも販売する。春からコツコツ集めてきた。

    これらは第二次世界大戦中に、アメリカ軍兵士達が家族や愛する人にお土産として贈った“スイートハート“と呼ばれる物。

    日本はもんぺに竹槍、金属供出させられていた時代に、海の向こうではこんなアクセサリーやお土産品がたくさんあったのだ。もちろん軍服などの装備品も全然違う。勝てるわけがない。仕入れのためネットで調べれば調べる程、戦争に突入していったことが虚しく感じられた。

    「我が国も、力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも、自ら太平洋戦争の端緒を切ったように···」と、先日の広島県知事の言葉が突き刺さる。

     

    おじさんのおかげで戦争に関する物を扱うようになったけど、もちろん戦争が好きなわけではない。平和を歌ったジョン·レノンやヒッピーたちが好んで着たように、アンチテーゼだと思っている。機能としてのデザインや各国個性が出るのも興味深い。

    この袋はバラックバッグと呼ばれ、40年代初期に洗濯物などを入れる用途としてアメリカ軍に使用されたもの。タグの部分にある墨で書かれた“ハンク“の文字。終戦後、おそらく進駐軍だったハンクさんと日本人の交流があったのだろう。

    古い物から見える物語が好きだ。

    書き手

    ふかやまゆみこ

    ふかやまゆみこ

    東京都町田市/45歳

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