かつての私は、たくさん話すことや場を盛り上げることが、誰かの役に立つことだと思い込んでいた。

けれど最近、本当は「しずか」な方がいいんじゃないか、と思い始めている。

ただひたすら、相手の話を丁寧に、丁寧に、こぼさないように聞く。

そうなってくると、ふと不思議になる。

いわゆる「ランチミーティング」や「会食」って、一体どういう仕組みなんだろう?

私たちの口は、たったひとつしかない。

それなのに、咀嚼して「食べる」ことと、言葉を紡いで「喋る」ことを、どうやって両立させろというのだろう。

食べることは、全身の労力を使う一生懸命な営みだ。

目の前のご飯が持つ「おいしい」を五感で理解することと、相手が話す「難しい内容」を頭で理解すること。

そのふたつを、どうして同時に、しかも完璧にこなせるなんて思えるんだろう。

私にとって、食べる時間は、もっと「のんき」でいいはずのものだ。

美味しいものを、美味しいとだけ感じていたい。

だから、ご飯の時間に難しい話は、もう一切したくないな。

「しずかなひと」になると決めた今年。

ご飯の時間は、頭をからっぽにして、ただ「美味しい」という奇跡に没入する。

もし誰かと共にするなら、中身のない、どうでもいい話を笑いながら。

口がひとつしかないのは、きっと「今はこれを大切にする時間だよ」と教えてくれているから。

食べる時は食べる、聞く時は聞く。両立ということは絶対にできない。しようとしない。