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    島縞

    島縞
    シマシマ

    春キャベツとポストまでの散歩道

    春キャベツがわが家に3つ。
    それぞれ別のところからやってきた。

    どこからともなく野菜を届けてくれる、人がいる。
    そんな島に、娘とふたり住んでいます。
    ここは、長崎にある五島列島。

    生まれてから18年を過ごし、進学・就職でもれなく島を出た。
    もう戻らないだろうと何となく思い、これまた結婚しないだろうと緩やかに諦め、ノウノウと一人暮らしを満喫していた。
    だのに島に住む男性と出会ってしまい戻らないわけにはいかなくなった。
    こんな風に私の人生を大きく動かした張本人は、可愛い娘をのこして逝ってしまった。

    今日は夕方にやっと起きてきた娘。
    絶賛自主休校中だ。
    近頃、定番となっているサンドイッチを作って一緒に食べた。
    食べた後は、メルカリで売れた本を投函するために一番近くのポストまで歩く。

    「昨日より空気とおひさまが暖かいね」
    「風が強くて飛ばされそう」

    ほんの数ヶ月前まであまり外にも出られなかったから、何気ない会話にからだの中もポカポカする。
    こんな風に、ふたりの日常はどこに住んでいても変わらないようで、春キャベツが届けられて島の恵みと季節が舞い込んでくる。

    うつろう季節、景色、感情。
    島での暮らしを、縞模様に織り込んでいきます。

    本日より三十年商店の軒に、島縞プレオープンです。
    どうぞお見知りおきくださいませ。

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/43歳

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