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    島縞

    島縞
    シマシマ

    深堀りの時間

    私は日記を基本、すべてのことが終わって、ゆっくりした気持ちの夜に書く。
    この日は、何やらモヤモヤを抱えてしまい、これを書こうといった事象が定まらない。
    他の書き手さんの日記を読みながら、ダイエーわかる!ってことから、lovelyって現地での生きた表現や卵として存在する前から見守ったシジュウカラの巣立ちに感動しつつ、重い腰は上げればあっという間の出来事、娘たちとの日常と成長やかんころ餅の認知拡大、身近であった事件の最後の一文にに共感し、自由な妄想に私までニマニマして、いつのまにか寝落ちしてしまっていたようだ。

    そして、目が冷めて読んだサキさんの日記に、動揺しつつ、「輪郭」という言葉で表現されていることに、深く頷いた。
    書くことを仕事に、となんとなく考えていた頃に、サキさんが三十年商店について語っているのを偶然にも聞いていた。
    その頃はまだ、個人でそういった取り組みをする方法もあるんだ、という感覚だった。そこから書くことのワークショップに参加して、俄然毎日書くことを習慣づけよう、と思っていたところ、これまたオノチャンのVoicyによって三十年商店のこと、私でも書き手に応募していいことに、グッとその存在が近まるのを感じて、こちらの商店の軒先を尋ねた。

    去年は色々とあり、生活を整えたり、自分を見つめ直す時間が多かった。その最後に、私はやっぱり書きたいのではないか、と言う自分の純粋な願いを見つけた。
    その後、SNSで色んなことを綴るけれども、なんだかしっくりこない。
    そうして、色んなかたとの関わりの中で気づいたのは、自分の中に伝えたいこと、そんな思いがない、ということ。
    もちろん、書いていてこんな事が伝わるといい、こんな風に感じてほしい、はある。あるのだけれども、それに一貫性というかイコール私みたいなものがないというか。うまく説明は出来ないのだけれども、使命感を持ってこんなひとにこんな思いを届ける、みたいなものがない。
    私はもう40代半ばとなるが、まだまだ自分を知らないし満たせていない。人さまのために何かを教え伝える事自体、そもそも出来ないのかも。人のために自分のできる限りを尽くす、これが私の役割だと信じているし、それは今も変わらない。
    ただ、そこに少しだけ、自分を知る何かを足していく。自分を満たす何かを足していく。

    私にとって書くことは、私を知る・満たす、そんな役割があるのだと思う。私のことも、周りの人や出来事なども、書くために深く思考して、言葉を選び、表現することで、それを形作る、それに輪郭を与えたい。そう思っていたから、こんな近くに、そんな風に表現する人がいたことに、自分の中にじわじわと広がる喜びを感じた。

    そうして、サイコさんとサキさん、この商店を巡り同時刻にシンクロを起こすおふたりが店主のこちらに、関わることが出来ていること。そこまでのめぐり合わせも、なにひとつ欠けていても、もしかしたらここにはたどり着けなかったのではないか、という強い衝動が私を静かに高ぶらせる。

    そんな商店では、書き手さんの書くことへ反応してもしなくても、ただその存在を感じながらいるあり方が心地よく、交換日記のような、往復書簡のような、そんな繋がりが丁度いい。
    海秋紗さんのフルスイング、打球の飛んだ先までしかと見届けさせていただきました!ガリア戦記について、こんなにも熱く語る姿を拝見できて嬉しい。
    皆さまの本との関わりで、改めて自分のこれまでの本との関わりを思い返すことができました。

    そして、さらっと書いた銀色夏生は、さらっと書くだけに留めてはいけない気がして、あの頃と今と同じ自分、違う自分に気づくべく、かきぬまさんのキッチンよろしく、私も銀色夏生を読み返したい。

    アルケミストを読んでから、前兆について考えている。
    今日もまた、そのままでいていいよ、というメッセージを受け取った気がした。
    そして、プライベートで初めて餡を炊いてみている。

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/43歳

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