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    島縞

    島縞
    シマシマ

    学校行事に参加するなんて

    3年生から特別支援学級にも籍を置くことになった娘。
    放課後誰もいなくなって、安心出来る状態になってから登校したり。1時間だけ登校したり。
    それも1学期の間だけ。夏休み、2年の頃から慣れた先生が育休明けの先生と入れ替わってからは、学校には行かないと娘から告げられた。
    通常クラスには一度も通うことはなかった。

    4年生になっても、この状況は変わらないと思っていた。
    それなのに、娘は親の想像など意に介せず、いきなり出来たりしてビックリする。

    先週、甥っ子の迎えに一緒に行きたいと言いだした娘。
    今度は、運動会の応援に行きたいと言う。
    あんなに学校が怖い、行きたくないと言っていた娘なのに。突然のことに、親としてはオロオロしてしまう。当日になって、やっぱり行けないってなったらどうしよう、ってあたふたしてしまう。
    娘はそんな母のことは露知らずな感じで、楽しみ〜なんて言ってしまっちゃう。

    そして今日、当日を迎えた。
    少し緊張した面持ちではあったものの、15分ほどの学校までの道のりを歩いて、とうとう校舎の中に入ることが出来た。
    ここまで10ヶ月以上が経っていた。
    そう出来るために、特段働きかけたことはない。やったことと言えば、秘密裏に先生とやり取りを行い、娘のもしもに備えて学校に安心していける場所を模索し続けたことぐらい。
    先生のご配慮で裏玄関が開けられ、娘は人に合うことなく特別支援学級の教室にも、通常クラスの教室にも、保健室にも行ける状況が整っていた。

    その時は静かに、当たり前のように自然にやってきた。
    裏玄関を開ければ、特別支援学級の先生と同じクラスの男の子からのメッセージが迎えてくれた。
    もうすぐ甥っ子のかけっこが始まる。ふたり急いで、3階にある通常クラスの教室を目指した。
    教室は窓もドアも開け放たれて、娘を温かく迎え入れてくれた。

    無事に甥っ子の応援が終わった途端、娘は教室の中に興味を示し始めた。
    自分の机と椅子を見つけ、嬉しそうにその椅子に座ってみせる。
    「机が低すぎる!」
    「身長測って、体に合わせて高さを調整するからね」
    そんな会話をしながら、教室の掲示物でお友だちの近況を確認する。
    「可愛い子は、字も上手!」「◯◯ちゃんの将来の夢はこれなんだね」「◯◯君はあの人に似ているんだよね」
    なんて自論を展開する娘、やっと学校に来れた喜びが溢れていた。

    同級生のリレーや、下級生の頑張る姿に「赤組がんばれ〜!!」と自然と応援に力が入る娘。

    あと2種目で、同級生のダンスという時に、「運動場まで降りてみてみようかな」と言う。
    「いいね、行ってみよう」なんて、内心の興奮は悟られぬよう靴を取りに降りる。
    「やっぱり、上で見ようかな。どうしよう」と短い時間に葛藤しながら、結局本部席の裏まで行ってお友だちが一生懸命踊るのを見学した。
    その後は、児童がいないことを確認して、2年前までしょっちゅう通っていた保健室に顔を出す。
    先生にももちろん、事前に顔を出すかもしれないと伝えてあったから、本人を刺激するような過度な反応は控えていただいて、場所に慣れるのを静かにただ座って待つ。
    「疲れたからそろそろ帰ろうかな」
    そう言って立ち上がった先に体重計と身長計。
    「ずっと測ってないから、どれくらい大きくなったか確認してみようよ!(先生勝手にごめんなさい)」
    そうして測ってみたら、2年ぶりの身長は10センチ以上、体重も10キロ近く増えている。そりゃ、抱っこでジャンブしてもらわないと持ち上げきれないわけだ。

    裏玄関までの廊下、特別支援学級の教室で母はこっそりと、教室での娘の落書きをお土産に置いていく。
    このクラスのお友だちへと、通常クラスのお友だちへのふたつ。
    娘が、学校に来てみんなのことを応援していたことを知らせたい。仲間がもうひとりいて、みんなと一緒に頑張ったんだってこと。
    こんなことをおそらく喜ばない娘には、絶対内緒の私のエゴ。

    クロウタドリさん、本オープンおめでとうございます!
    とこさん、ユカさん、6月からどうぞよろしくお願いします!

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/43歳

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