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    島縞

    島縞
    シマシマ

    麻婆豆腐の記憶

    麻婆豆腐を食べた。

    娘が飽きてから1年ぶり。寒くなると恋しくなるのか、食べたいと言うので久しぶりに夕食に登場した。

    結婚する以前の、もうだいぶ前のことなのに、作る度に思い出すことがある。

    姪っ子ちゃんが泊まりに来ていて、その日の晩ごはんが麻婆豆腐。
    懸命にお手伝いをしてくれた。
    麻婆豆腐の鍋を見て「混ぜすぎて、豆腐が崩れちゃってるね。」、ついでくれた炊飯器をのぞき、「今の若い子は、ほぐすのを知らないんだね。」と、そこの父子は言った。
    自分たちの姪っ子・孫にではなく、私への言葉として。
    子どもたちがお手伝いしてくれたんだよ、とは言えなかった。

    そんな想像は一切できなかったのか、子どもたちは頑張ってくれたのに、って最初はただそれが悲しかった。でもじわじわと感じたのは、若い女性に対する偏見のようなもの。

     

    たったひとこと。
    本人たちは、なんとはなしに放ったのかもしれない。
    そういうことを言いたかったんじゃないのかもしれない。
    それでも、こうして残る言葉はある。
    私がちっちゃい人間なのか、気にし過ぎなだけのか。

    私自身も、そんなひとことを放ってはいないかな。
    わかっているのは、娘が受け取る言葉は、私のそれより重いってこと。

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/44歳

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