30年商店:ロゴ

お便りフォーム

    お名前(ニックネーム)*

    Eメール*

    宛先*

    メッセージ*

    Sophy's philosophy

    Sophy's philosophy
    ソフィーズフィロソフィ

    farewell

    マエストラ・バーバラが安置されているという知らせを受けて、ついにソフィに話をした。どう子どもに死を伝えるかという検索をして、はっきりと言った方が混乱しないと書かれていたので、亡くなったことを素直に伝えてみた。ソフィはまだ死というのが、よくわかってないみたいだった。話している私の方が泣けてきた。

    それから、コフィンの中に居て眠ってるように見えるけど、もう返事をしないんだよ、と伝えた。コフィンて何?と言うので、検索したらフランシス前教皇のコフィンが出てきたので見せてあげたら、ようやく理解したみたいだった。空に行く、というのが意味することも分かったのだろうか。

    それから、会いに行きたいかを確認した。「うん」と言った。ソフィと同じクラスだったお友達のママに聞いたら、一緒に行く?と言ってくれたのでお願いした。イタリアの葬儀にまつわる経験がなく、さっぱり慣習がわからなかったのでありがたかった。

    黒を着て行ったほうがよいの?と聞いたら、「あなたの思うものを着ればいいよ。マエストラ・バーバラはそんなこと気にしないと思うよ」と言ってくれた。だからわたしは、紺色のパンツに青い綿毛模様のシャツを着た。

    コフィンが安置されている部屋の前にはたくさん人が集まっていた。並んで待っているとひとりの老女が子ども達のところまで来て「バーバラに会いにきてくれたの?わたしはバーバラのお母さんよ」と言った。それをみてわたしの涙は崩壊した。

    棺は閉じられていて、顔を見ることはできなかった。ドネーションをしたからなのか、子どもたちに配慮されたものなのかは、わからない。でも大きく映し出された彼女の写真を見ただけで、やっぱり涙が止まらなかった。

    お友達のママが子どもたちに一輪ずつ、四輪のひまわりを用意してくれていた。バーバラみたいに満面の笑顔で笑っているようなひまわりだった。

    ソフィは書いてきたメッセージカードとひまわりを棺の上にそっと置いた。

    お母様が、最後まで子どもたちに「バーバラが見守ってくれているから、お父さんとお母さんを大切にしてね」と言ってくれた。旦那さんと二十歳くらいの背の高い二人の息子さんと握手をしたら、みんな頬に2度キスをかえしてくれた。彼らは気丈に見えた。

    ふと、父の通夜を思い出した。参列してくれた人は悲しい顔をしているのに、なぜかわたしは笑顔だった気がする。直後の家族だけの悲しみを超えて、こんなに人が集まって一緒に父の死を悼んでくれることに素直に感謝したいと思えたのかもしれない。

    散々泣いた顔でお友達の子どもが「ジェラート食べよう」と言ったので、みんなでジェラートを食べた。歩きながらみんなで笑い合って食べた光景は、一生忘れないと思う。

    FBで流れてきたこの文章を終わりに載せておきたい。

    書き手

    sophy

    sophy

    イタリア・ベルガモ/46歳

    ©30YEARS ARCADE