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    島縞

    島縞
    シマシマ

    何度でも読みたい本たち

    昨日、今週末が三連休であることに気づく。土日祝日を休むと決めて、日曜が終わるのが惜しい気持ちを思い出していた。そうして、明日も休みだということが嬉しくてたまらない。そんな心のゆとりをもって、今日は読書三昧の一日とした。つまみ読みしていたうちの、大切に読み進めていいたふたつを読了。

     

    夏井いつき先生の『パパイアから人生』。
    全国各地、句会ライブを行うなか、参加された方のよんだ句から思い思いに想像を巡らせる様子に、まじりたくて仕方がないと思った。わが町でも、句会ライブ開いてほしいと奮闘する方。ご縁が巡り巡って結ばれていく様。甲子園はもはや野球だけではなく、運動部も文化部もなく、高校生が憧れあって、本気をぶつけ合う場所であること。俳句が人生を支える杖になりうること。言葉の持つ力強さ。いっぺんに思い出しながら、思いがあふれ出しそうに、喉の奥がぐぐっとなる。だれでもなんでもよんでみていい、なのになかなか始められぬ自分へのもどかしさ。最初の一句への過度な期待が、ブレーキをかけていることはわかっている。自分のことながら、なんとも滑稽に思う。でも、そろそろ一歩踏み出したい。たくさんの方の一歩も十歩も何千歩も、このエッセイでのぞかせていただきた気がして。私もそんな人たちの仲間入りを、自己申告の『いつき組』員を名乗りたい。口に出さねば、なかったことにしそうだから、ここに書いておこう。教育現場にも度々足を運ばれており、学校教育の中でも熱心に取り組まれている先生方もいらっしゃる。言葉の力と、想像力に触れる機会を子どもたちが持てることがなんとも希望だ。

     

    髙田郁さんの『星の教室』。
    こちらは逆に、そんな子ども時代に学ぶことを奪われた人たちが、学ぶ機会を取り戻していく場所。学校で学ぶことになんの疑問も感じず、言われるがまま過ごしていた自分と、学ぶことを自ら選び取り組む人たち。どちらがどうとか、比較するものでもないのかも知れないけれど、流されていた私には、大変にまぶしい世界だった。想像を絶する経験も、苦労もあっただろうけれど、それらを乗り越え、未だに抱えながら、学ぶことに向き合う人たちの強さに胸打たれた。主人公のさやかが、自分が壊された呪いの言葉を、自ら祈りの言葉に変え、言葉の持つ力に気づいていく様がとても美しい。自分の本当の願いに気づくことで、周りのひとからのきっかけをしっかり受け取っていく。描き始めた夢を追う、その努力をする前に、怖気付き一歩踏み出せずにいる主人公を見守り背中を擦り、教えてくれる仲間や先生方がいて。きっときっと、手に入れた夢の輪郭をはっきりくっきり具現化していける。主人公に未熟な自分を重ね、私も一歩踏み出そうと思わせてもらえた。

     

    書評とは言いがたい、うまくまとめきれない私の文章である。でも、この二冊から受け取った気持ちは忘れたくなくて、こんな文章でも、読み返したときにきっとこの日に戻ってこれる、と信じて書き残しておく。

     

    そして、久しぶりの妹のおうち訪問で、再び鬼滅の刃を借りて帰った。娘と映画を観に行けるかも、と思ったときにもう一度読んでおきたいと思った。

    書き手

    ひらのあすみ

    ひらのあすみ

    長崎県五島市/43歳

    ©30YEARS ARCADE