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    風早草子

    風早草子
    カザハヤソウシ

    中二双子の中学野球部の話

    我が家の末っ子中2の双子息子が所属する中学校の野球部。部員が少なく、3年生引退後、単独チームが組めるかは、1年生新入部員の数次第、というのが新年度の状況。結果的に1、2年生合わせた選手の数がギリ9人となり、良かったね、というのが4月。

    ところが先日、父も母も聞いてなかった驚きの事実を知った。

    休日ランニング。今日は立石海岸から内陸へ。一山超えて、長いトンネルを抜けると、双子息子が通う中学校に辿り着く。横須賀の中学校を迎えての練習試合を少し見物。珍しく、打線がつながり、守備も粘り強く耐えて、大勝だった。

    現在は夏に向けて3年生中心で頑張っているが、大会後、3年生が抜けると、チームは1、2年生で組むことになる。春の時点で2年生はうちの双子を含む4人。新入部員が5人入らないと、単独で試合ができないので、近隣の学校と合同チームを組まねばならない。

    人口が少ないこの町は中学校も小さく1学年3クラスしかない。そして今の時代、野球部は人気が高いとは言えず、慢性的に部員は少なめ。そんな中我が家の4人の息子は根っからのカープファンの母の影響も受けてか、小学校から野球をしている。ただ中学校はそんな状況なので、6つ上の長男の代も部員が3人しかおらず、3年夏の大会は3校の連合チームでの出場だった。ちなみに中学校で最も部員が多いのはサッカーでもバスケでもなく、男女ともにバドミントンらしい。

    うちの双子は小学生の時から少年野球をやっているので、同じ中学に入ってくる後輩も何人かいる。しかし皆、本格的に野球をやりたいということで、中学野球部には入らず、クラブチームに入るつもりと聞いていた。なので、新入部員5人は厳しいのでは?と内心思っていた。

    そもそもうちの双子は大した選手ではない。恵まれた体格でホームランバッターだった長男、運動神経抜群で強肩巧打の次男に比べると、体も小さく華奢でセンスもあまりない。小学校時代はずっと外野で下位打線だった。しかし、その双子の代の2年生、他の二人は中学から野球を始めた初心者で、うちの双子よりさらに技術がつたない。まあガチで野球をやりたい子がクラブチームに行くのも気持ちはわかる。

    だが4月、フタを開けると何と新入部員は5人。1、2年生で見事に9人到達。

    やはり合同チームは一緒に練習するのも大変で、離れた中学で練習の場合、送ってやる必要があったりする。一人ならバイクでも送れるが、双子の場合、車しかなく、道路が混む土日に送迎があると、親も結構大変なのだ。だから単独チームが組めるなら、それに越したことはない。

    一年生が5人も?と聞くと、何と2年生の未経験者がさらにもう一人この時期に入部して9人となったそうな。中学から未経験者が野球部入るってそれなりにハードル高い気がするし、2年生のこの時期からだと、なおさらではないかと思う。

    双子に聞くと「野球に興味があるって前から聞いていたからすごく一生懸命勧誘しました!ハイ!」と言っていた。

    そう聞いて妻と、2年から入った子は勇気がいったかもしれないけど、それだけ熱心に誘われて踏み出せた一歩が、その子のためになったらいいね、みたいな話をしていた。勧誘をした双子も結構すごいのではないか?と思った。そして、グランドにもう一人、キャッチボールがぎこちない少年が増えた様子を思い浮かべ、9人に達しても新チームの戦いは厳しそうだな?などと思っていた。

    そんな中、5月に入って中学校で保護者向けの部活懇談会なるものがあった。顧問の先生から活動方針などについて保護者が説明を受ける会だ。我が家は野球部関連のことは基本、私の担当となっているので、当日は在宅勤務から中抜けしてバイクで中学校へ向かった。

    野球部も練習中だったので見てみると、まだユニフォームがなくて体操服でキャッチボールをしている子が5人。そしてその中に背の高い女子が一人!?

    何と、双子が一生懸命誘って入部した野球未経験2年生は女子だった!

    言わない双子も双子だが、先入観で勝手に男子を想像していた父は、のけぞるほど驚いてしまった。斜め上というやつか?

    でもなんかすばらしい。適当な表現が見当たらないがすごい。

    中学校の野球部は女子選手も公式戦出場が認められていて、チームに一人二人女子がいるのは珍しくない。ただ多くは少年野球チームでやっていた経験者が多い模様。

    でも、野球に興味があるなら、経験がなくても、2年生からでも、女子であってもやってみればいいと思う。きっと何か得られるものがあると思うし、単純に楽しいだろう。

    親世代から見ると、ハードル高そう!と思ってしまうが、そんなこと全く気にしてないような双子たち、なんかそう、ちょっと父は感銘している。

    野球もそれほど上手くないし、体も大きくないし、勉強も得意ではないし、家族から今だ小さい末っ子扱いなのだが、カレラ、ワレラが思っているよりズーーっとスゴイ人たちなのかもしれない。笑

    スゴイのかもしれないし、スゴクないかもしれない双子。小さい頃から愉快な人たちではあります。(調子に乗ってそれらしいポーズをとっているだけで、このころはまったく野球にはなってない)

    書き手

    海秋紗

    海秋紗

    神奈川県葉山町/57歳

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