アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。

「イスラム教って、同じモスクに通うときでも違う道を通って行くことが推奨されるんだって。知ってる?」
若林恵「いつも未来に驚かされていたい:『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ」

お疲れさまです。

ーお疲れさまです。最近、調子いいんじゃない? 日記続いてるね。

ちょっと習慣化してきた感じがするんだよねえ......でも待って。甘やかしたらあかん。せめて半月とか続いてから言ってよ。

ーだって珍しいから。まあ確かにまだ数日も数日。

今日はね、話すこと決めてきたよ。ずばり、この書き方について。

ーひとり対談スタイルね。

これはですね、こちらの記事「いつも未来に驚かされていたい:『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ」が元ネタです。内容はタイトルどおり。

ー2017年12月の記事ですか。

当時の『WIRED』の愛読者でしたから。読んだときはまあびっくり......だったかは覚えてないけれど、印象的な記事ではあって。

ーまさしく、ひとり対談スタイルだしね。

そう。でもそれだけじゃなくて。まずはパンチラインが多い。林業の話とか、舗装の話とか。極め付けはこれ。「イスラム教って、同じモスクに通うときでも違う道を通って行くことが推奨されるんだって。知ってる?」。

ーこの話、好きだよね(笑)

アーにもう何度となく話したよ(笑)。散歩しながら「さっきあっちの道から来たから、帰りはこっちの道にしよう。そうそう、イスラム教って......」ってな具合に。

ートリビア披露したいおじさん(笑)

それにさ、この記事のなかにイヴァン・イリイチの話が出てくるんだけど、イリイチのことを認識したのはこれが初めてだったと思うんだよね。

ー『WIRED』日本版の守護聖人として名前が挙がってますね。

よく知られた著者として『コンヴィヴィアリティのための道具』っていう本が挙げられてるんだけど、「知らねえよ!」と思って、すぐに買って読んだ記憶がある。ちなみに、この『コンヴィヴィ〜』の訳者は、渡辺京二。『近代の呪い』のね。

ーへえ。

それでこのひとり対談スタイルなんだけど、この記事もそうだけど、読んでてあんまり長さを感じないんだよね。まあ当然、あちらは面白い話を繋いでるからではあるんだけど。とはいえ、対談文って読みやすかったりするじゃない?

ー読みやすさを考慮したと。

あー、うん、まあそうかな。でさ、実際に書いてみるとこれが結構楽なんだよね。次々に言葉が出てくるというか。読み直して気がついたのだけど、この記事も急ぎ作ったものなんだよね。

ーまあ楽だからってだけで、このスタイルを選んだわけではないと思うけど。

それで言うとさ、これはどこで読んだか忘れちゃったんだけど、対談スタイルって話を脱線させやすいんだよね。一人語りエッセイ調だとなんだか落ち着かない話の飛躍も、会話調だとするなり入ってくるというか。

ーそれこそ、イスラム教の話とかもね。

そうそう。まああれはまた伏線っぽくもなってるんだけど。

ーひとまず続きそうなら、当面いいんじゃないですか。まあ勝手に飽きちゃうんでしょうけど。

まあこればっかりはリズムだしなあ。ここ数日は仕事で銀座の編集部まで行くことが多くて。その帰りの電車で書くのにちょうどいいの。逆に言うと、遅くとも国立駅に着いたタイミングで切り上げるから、今回はこんな妙な終わり方になっちゃった。

(136)

エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。