アルキメデスは浴槽から溢れる水を見て「ユリイカ!」と叫んだ。私たちは日々見聞きする言葉に触れては「エフェメラ!」と叫ぶともなしに記録しようと思う。言葉は儚いものであるからこそ、今このときを確実に残してくれるから。
「買ったらいいじゃないですか。一緒に行ったときに買ったなって思い出になりますよ」石井くん
ここ数日、整理券配布の仕事で朝が早く、普段と違うリズムで流れていく日常に体を合わせていくのに必死。生活にまつわるいろんなことをほっぽりだしている。忘れてしまう前に、この前minou booksの石井くんと会った日のことをメモしておこう。
神田で雑貨の展示会に行ったあと、次の展示会まで少し時間があったので歩いて神保町へ。これが新しくなった三省堂だよ、と言いながらひと回り。そのまま流れるように東京堂へ。そうそう、この感じ。東京堂のちょうどいい広さとブラウンな空気が本を買おうかなという気持ちにさせてくれる。入り口近くのランキング棚をまずチェック。そこで発見、買いたかったミランダ・ジュライの新刊『はいつくばって』! 登場人物は45歳の女性。テーマが「中年」そして「更年期」と聞けば、読むしかないよね。買おうかなと思ったが本の厚みがかなりあり、ひどく重い。今日買うのはやめて、国立の増田書店で買おうかな、と悩んでいたら、「買ったらいいじゃないですか。一緒に行ったときに買ったなって思い出になりますよ」と石井くん。そりゃそうだ。この本は石井くんと東京堂に行ったときに買ったんだったよな〜て背表紙を見ながら思う日がそのうちくる。

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あるインタビューでジュライは「“中年の危機”という言葉にもっとポジティブな意味を見いだしたかった、なぜなら危機はいつだって変化を連れてくるものだから」と語っている。そうして大勢の女性たちに話を聞き、その膨大な量のメモ書きと自身の体験をよりあわせてできあがったのが『はいつくばって』なのだという。───岸本佐知子(波 2026年9月号)
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エフェメラ/「一日だけの、短命な」を意味するギリシャ語「ephemera」。転じて、チラシやポスターなど一時的な情報伝達のために作成される紙ものなどを指す。短命だからこそ、時代を映すとされ、収集の対象になっている。




