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    戦争だけはごめんだ

    子どもと砂場であそんでいた。風はつめたいけれど暖かくてのどかだった。公園の前を選挙カーがとおった。子どもは「ぶーぶー!」とうれしそうに指さした。

    公園にわたしたち親子ともう1組の親子がいることに気づいた選挙カーはゆっくりと停車した。子育て世代だからか?たった2人の有権者とその子どもたち3名にむかって演説をはじめた。

    演説のあいだ、運動員が砂場までやってきてビラを渡してきた。男児2人を連れたママは支持政党なのか、快く受け取り談笑をはじめた。わたしは背をむけていたが、もちろんそのあとわたしのところにもやってきた。「すみません、結構です」と言ったのだけれど、応援演説にきりかわると今度は本人がやってきた。若くてさわやかで好印象だ。

    思わず「戦争反対ですか?」と聞いてしまった。立候補者はうろたえながらも「もちろん、反対です」と言った。わたしは「そうですか。でもこれは要りません」と笑顔で伝えた。

    戦争がいやだ。戦争反対というか、戦争がこわい。とてもこわい。ぜったいにいやだ。

    子どもがうまれてから余計に思う。自分ー夫や家族ー友人だれひとり傷つけられたくない。でも子どもとなると話はちがう。どんなにズルいことをしてでも一番助かってほしい。ぜったいに徴兵されたくない。徴兵制がはじまったらどんな手をつかっても逃れたい。子をもつ親なら皆そうなんじゃないだろうか。

    「徴兵制に反対ですか?」と聞けばよかった。せっかくあちらからわたし1人来てくれたわけだから。戦争反対なんて、いうのは簡単だ。戦争反対、だからこそーってのが意見のわかれるところなんだし。現にとなりにいるママは本人に投票を約束してたし。「戦争が怖いですか?」の質問がよかっただろうか。「戦争についてどうお考えですか?」とか?

    いや「わたしの子どもにむかって『ぜったいに戦争しない未来をつくるよ』って言えますか?」とか?子どもを巻き込んでしまうのはよくないだろうか。でも聞きたいのはそこなのだ。「きれいな眼をした子どもたち向かって、あなたは本当に誓えるのですか?」って。

    まあ何をいってもわたしは、その政党について「ナシ」をくだしているので、ビラを受け取ることはなかっただろうが(もうポスティングされて家にあるし)。

    先日、友人が「自衛隊への情報提供を希望されない方の申出(除外申出)」について教えてくれた。つまり逆をいうと18歳に到達する年度までに、自ら申し出をしない限り子どもの情報は防衛大臣に提供されてしまうのだ。ふつうに変じゃない?なにそのシステム。なにもなければいいよ、でもなにもないとはかぎらない。だからわたしはいまだに子どものマイナンバーカードをつくれない。あったほうが保育園の申請とか、ラクなんだけど。べつにネットの情報に汚染されたとかではなく、シンプルに現代に赤紙があったらマイナンバーカードのシステムが使われるだろうなっていう自分で想像したことだ。遅かれ早かれだとしても、徴兵制がはじまったらどんな手をつかっても逃れたい、って考えているから、作らないメリットの方が大きい、というのが個人の考え。

    別に啓蒙したいわけじゃない、単純に戦争が怖いだけだ。いやなだけだ。戦争したくない。

    小学生のときに父に買ってもらった手塚治虫の『火の鳥』。繰り返し繰り返し読んだからなのか、いつも最悪なケースばかり考えているからなのか、定期的にこのシーンを思い出しては泣きべそをかいてしまう。まだ誰にいれたらいいか、決められていない。

    『火の鳥-未来編-』©手塚治虫

     

    書き手

    migiwa

    migiwa

    埼玉県さいたま市/36歳

    ©30YEARS ARCADE