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    幽かなひかり

    子どもが元気だ。降園しても「あるく!」と言い放ち、手をふりほどいて一人「あっるこ~♪あっるっこ~♪」と歌いながらずんずん進む。と思ったらコケて、立ち上がって「パンパン」はらってまた進む。「パン屋さんいかない?」といっっても「こうえん!」だそうな。保育園からどんどん離れても自転車回収がたいへんなのでとりあえず誘導して自転車にのせて家の前の公園へ。

    この時季の暗さは不思議だ。前もあった気がする。それとも天気のせいか?くもっておぼろ月以上のホワホワになった幽かな光をみて「なんだ?」と聞かれたし。

    真っ暗ではないけれど確実に暗い。さっきまでわかった部分的な泥濘もみえなくなって、まちがって新品の靴をよごしてしまいそう。それでも子どもは砂場をはしりまわり、新幹線のゆらゆら遊具を楽しみ、ふたりで「ブランコ~♪」とはしゃぎながらブランコに乗り、最後の最後でひとり大型遊具のトンネルにはいった。こんな暗さでトンネルにはいるなんて、先月じゃありえなかったこと。怖いという概念はどこへいったのか?無敵モードでおもしろい。トンネルの穴から「やっほー」と言われるのがすきなのに、わたしはこの変な暗さに心細くなっていたら「やっほー!(してくれや)」とせがまれた。暗いけど暗いとは違った“見えない”という感覚がなんだか怖くて、つまりいま近くから知らない人がやってきても気づけないような見えない霧に包まれている感じがした。もう子どもは誰一人いなくて、犬の散歩のひとたちが遠くでうごいているのが見えるだけ。夫から駅についたと連絡があったのに、それから全然やってこないから思わず電話した。

    しばらくして夫がやってきて子どもは一目散にかけよった。数日前からパパLOVEモードで今日おむかえにいったら初めて「パパじゃなーい!」と言われた笑

    夕飯づくりが手つかずだったので先に帰宅する。帰ってきてゴハンを食べてもパパパパだったので、こういうときこそっと寝室に逃げ込みダラダラすごした。ありがたい。

    子どもはいつからか〇が描けるようになったので画伯モードとなり、今日は大きな紙に絵を描いてくれた。半年前くらいに描いた絵もリビングにかざっているのだけど、定期的に指さして「この絵いいでしょ」と言ってくるので今回もすかさず飾ってみた。親ばかだけれど、天才!というより、普通に良い絵だと思う。好きだな~と思う。その純粋な感情が自分でうれしい。

    寝る前、いつもではないけれど頬にキスする。今日はパパとママ両頬同時にキスをした。ふざけて思い切りやったのがおもしろかったようで「もう1回!」と言われた。大人からしたら電気を消す前の儀式でもある≒早くねてくれ、でもあるのだけど、その表情があまりにもうれしそうで、いつもだったら切り上げてしまいそうなところ、今晩は「もう1回」と言われなくなるまでやり続けた。

    子どももそうだけど、わたしまで満足してしまったのか、久しぶりにそのまま寝落ちした。

    きっと数年後この夜のことをうらやましくなるのだろう、と思った。でも今までは「今は幸せよりも大変が勝つけれど、きっと数年後~」だったのが「今すんごい幸せを感じるけれど、きっと数年後は~」に変わった気がする。まるで旅行を楽しみながらも終わりも見据えてかなしくなっているときみたいに。

    書き手

    migiwa

    migiwa

    埼玉県さいたま市/36歳

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