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    もしもし五島列島

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    モシモシゴトウレットウ

    24歳、梅雨前の半ケツ野ション物語〜今年はフェロモン女になるといったのに〜

     

     

    野ションが得意でよかった。

    スカート着てきてよかった。

    だけどロングスカートにしなきゃよかった。

    夜行バスに乗ってる。

    いま深夜3:53。

    トイレがないバスで、3:40ー3:50までトイレ休憩だったんだけど、寝ぼけてるのもあって今とまってるのがなんのためなのか、そもそもとまってるのか、そもそもトイレ車内にあるのか全てわからなくて、だけどトイレ近いほうだからもし休憩ならここで行っとかないと危ういな、、、と思って数数え途中の運転手に3聞いてみるととても嫌な顔されて「休憩ですけど、、もうでますよ。50分までです。」と、数数えなおしのイラつきもありつつ諭された。スマホ2台持ちしてて、時計確認のためにパッと目の前にあったスマホを取った。こちらのスマホは予備の方で、動画ダウンロードして視聴する専門で電波通してないやつ。3:47だった。そんなにトイレしたくないし、いいか。と思いつつ、私にはなんどかおもらしの前科があるのでこのときの自分の「いいか」をいかにしんじないほうがいいか知ってる。

    ここで渋ったせいで同じ3:47でも私が立ち上がったころにはぎりぎりの3:47になってしまい、カウント機をもったまま多分最高に嫌な顔を増してる車掌に「なるべく急いでください」と言われ、寝ぼけ眼で走り出した。いや、走り出せなかった。寝起きで世界を理解するまでには時間が足りない。特に私の脳のキャパシティだと。

    しかも私は窓側の席。となりは上下グレースウェットでキャップの上からフードを深く被って、足を組みながらめちゃくちゃ寝てる。そもそも夜行バススタートして3分で寝まくってた。寝る直前、ぎんぎらぎんのなっっっがい爪でスマホをいじってるのを見てた。ラメがめちゃでかいやつ。

    その人を乗り越えてから行かなきゃいけない。しかも後方の席だからいろんな人を横切る。しかもオニヅカタイガーの厚底できてしまった、ドタバタ音を立てて電波の入らないスマホだけを持って飛び出す。

    しかもメガネをかけてないから何にもわからないし見えない。

    そして絶望的な方向音痴。これはもう語り出すとキリがないのでとりあえず左右がわからないことだけ。

    方向音痴なせいで24になっても本気で怒られる。ずっとしゃべってられるので助手席にぴったりでありぴったりでなさすぎる。

    いちおう車のナンバーだけ覚えた。98

    だけどこれ以上離れてしまうと目があまりにも見えない!

    そしてトイレどっち!?トイレの気配すらないぞ。感覚だけで走り出す。

    けどこれ以上離れると確実に戻って来れないしバスがどれが正解かもわからないということでとりあえずもう野ションしかない。

    大きなトラックがあってこの人にだけならまあ見られてもいいかと思いながらトラックの裏に行くと、カーテン閉まってて、寝るだけのためにいるんだ!ラッキー✌️とスカートの中のジャージとパンツを一気に下ろして半ケツはこの世にどかんとだして、しゃがみ込み、ひさびさののションだったのと寝起きで筋力なくて、そもそも最近疲れ過ぎてるのもあるので一瞬でなかったけど、やっぱり24の女のなかで野ション経験がだいぶおおいほうなので、3秒も座れば地球と仲良くなってのションができた。トイレがしたいわけではなくて「ここでだしておかないと」のきもちだったためシャーっくらいであっという間に終わった。立ち上がってパンツとズボンを同時に上げる時は、下げる時よりかはまだケツをこの世に見せずにおしとやかにしまえた。

    ルンルンで戻った。

    自分のサバイブ力素晴らしいなと!なんか最近いろんな団体に属するようになって、人生結局顔じゃん。マジ嫌だどこからも逃げたいと思ってたけどこのサバイブ能力あるやついねえだろ!とほぼスキップしながら無事戻ると、なんか白い物体が叫んでる。なんかわからんけどたぶんそれは人で、しかもめちゃおじさんで、多分禿げてて脂ぎってる。

    [え、、あ、そっか。夜行バスって、運転する人以外にもう1人おるんか]

    と、寝起きだったにも関わらず野ションというスリリングな体験のおかげで冴えたあたまで現状を把握する。

    そしてこのおじさんは私がトイレと逆方向に走り出したのをずっとおいかけてて、トラックの裏でしゃがんでたのを不思議に思いすぎてたんだなと、そしてずっとみられてたのか、バスに戻ってくるわたしにたいして「トイレ逆方向だけど行かなくていいんですか」と叫んでる。叫び過ぎてる。今何時だと思ってんのか。

    叫ぶなよ。

    まあ聞こえなかったけどさ、叫ぶな。そして見んなよまじで。24の半ケツはいくら不細工でかっっっさかさで粉吹雪だったとしてもいちおうセーラームーンかそうじゃないかでいったらまだセーラームーンよりだぞ。24だもん。25まであと3ヶ月以上あるし。よかったな。

    なんかもう全てが恥ずかしくなるとなんとも思わなくなる。

    半ケツのこと、道間違ってること、大声出されてるのをみんなにみられてること、そして時間ギリギリなこと。

    「トイレ行かなくていいんですか?」という言葉を壊れた目覚まし時計のごとく早口で感覚詰めずに言いまくってる。一旦落ち着け。聞こえてはいるから質問は一度でいいぞ。待ちの姿勢も学べよそれだけ歳重ねてるんだから。

    東京から大阪の夜行バスだけど、このひとは確実に大阪寄りのひとなんやな。はあ、もういやだな、せめて東京のおじさんがよかった。できれば西島秀俊みたいなひとがよかったけど、一番逆の人に見られてた。私みたいな人だった。私がおじさんになーったら♩(森高千里の歌)みたいな人だったなぁ。ある意味私みたいなひとだったおかげで、野ションの一部始終見られてたことに対してなんとも思わない。自分のうんこを自分で確認するくらいの感覚。

    それにしても吠え止まないいぬのごとく、「トイレ行かなくていいんですか」を言い過ぎてる。

    いいんだってば!

    私も私で、状況把握に脳を使うで一生懸命で口を開くのを忘れてた。

    「大丈夫です」とやっと言う。

    「いやけど、まだまだあるから行ってください!」とこれもなんか立て続けにリピートしててうるさい。一拍置く練習しろ、対話を学べよじじい。

    「大丈夫です」とまた重ねる。私も激しく大丈夫を重ねる。

    だけどこのタイプのジジイは大丈夫だけでは理解できないっぽくて何回も質問重ねられるので

    「酔い覚ましのために外出たので大丈夫です」

    と明らかに嘘とわかることを言った。だって、「トイレ行っていいですか?」で外飛び出してるから。

    しかも酔ってる人とは思えない顔のスッキリ加減。だっておしっこだしおわってるもん。しかもあれだけ爆睡してた人が酔うはずないだろ。

    だからジジイから私の言葉の論理をつめられちゃって「本当ですか」をまたお利口じゃないせいで深夜の路地裏らへんにしかさんぽできない大型犬のごとくつめられる。[就職せずにフリーランスでひとりでやっててよかった〜たとえ仕事なくても、単価安くても]を実感⭐︎

    めんどくさいのでこっちも相手と同じくらい大きな声と圧で「大丈夫です!」を重ねる。圧を送る。

    大きな声を出した後に気づいたけど、これって別に「大丈夫」が伝わらなかったとしても私はもうバスの車内に足を3歩も踏み入れまくってるからそのまま席に戻ればいい話じゃん。

    席に戻る。ジジイへのむかつきとまだ理解できてないジジイのためいきの息をかんじながら、起きてる人たちの視線を感じ、揺れるスカートの裾についた野ションが素肌に触れてて気持ち悪い。なんかすでにくさい。今回、3泊4日でホテルが全て違うので荷物は身軽にしたくて着替えがない。はあ、おしっことともにすごさねばいかんのか。しかもサテン生地。レースとかじゃない。だいぶ匂い染み込んで溜めてくれそう。長年使われてないグランドピアノの赤いピアノカバーの匂いしそう。

    窓側に座る時、手前にいる気だるそう系ギャルにも多分揺れるスカートのせいで野ションエキスつけちゃったかも。すまん。

    座って、なっっっさけない。情けない。で頭をいっぱいにさせて、一旦現状把握してこんなに情けないから寝るしかない。考えるな、寝ろ。と言い聞かせ、目を瞑るけどとにかく目が冴える。

    スマホを取り出して今すぐこの気持ちをメモしなきゃと思ったけど最近色々あってスマホの文字をシニアスマホのサイズにしてるのと大画面スマホに買い替えたので丸見え。

    けどしょうがない。書かないと情けなさが募って余計にストレスでおかしくなりそう。

    夜行バスにはもう二度と乗るもんか!変わるぞ!私!と書き始めたときはこのことをゴールに考えてたけど、これを書いて50分経ったいまはこのこと忘れてていま背伸びしたタイミングで思い出した。

    本当にそろそろ夜行バスからの卒業式。

    着いた時早々と荷物取って出ないとこのジジイに話しかけられちゃう。ケツ見られたことはどうでもよくて、そんなことよりうるさかったむかつきがなにより勝つってかなしいな。私が思い描いてた理想の24はとなりの気だるそうなギャルの方だよ。ギャルになりたかったな〜目が冴えまくるよ。けど寝よ。眠い。なんだかんだドラマだったのでで疲れた。

     

    書き手

    中村千結

    中村千結

    長崎県五島市・東京都大田区/24歳

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